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ごあいさつ・メッセージ

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主催者ごあいさつ:誰もが元気になれる芸術祭に


山形ビエンナーレ総合プロデューサー
東北芸術工科大学学長

中山ダイスケ

現役医師である稲葉俊郎氏を新芸術監督に迎え、「山のかたち、いのちの形」と題して新たなシリーズが始まった山形ビエンナーレですが、前回の2020年は、新型コロナウィルス流行により多くの文化イベントが中止や延期となる中、「オンライン型」での開催を余儀なくされました。

しかし、この芸術祭の本来の姿を想い巡らすと、やはり多くのみなさまに初秋の山形を訪れていただき、市街地を散歩しながらアートの体験をしていただきたいと考えて、さまざまな社会環境の変化に対応できるように工夫を凝らして準備を進めています。

5回目を迎える今年の芸術祭では、山形市と本学が共同で整備を進めている「やまがたクリエイティブシティセンターQ1(旧山形まなび館)」を中心に、山形駅から文翔館を結ぶ動線上に多彩なプログラムを散りばめたいと思っています。そして、この2年間で失われかけた「人と人のつながり」や「心と身体の関係」などに焦点を当てることで、街に住む人も訪れる人も誰もが元気になり、街全体が明るくなるような芸術祭を目指したいと考えています。

ぜひ、山形ビエンナーレの趣旨にご賛同いただき、ご協賛いただければ幸甚に存じます。

芸術監督メッセージ:いのちの混沌を越えて
─いのちの記号を交歓し、開かれた想像力を


山形ビエンナーレ2022 芸術監督
稲葉俊郎

●プロフィール
1979年 熊本生まれ。医師・医学博士。
1997年 熊本県立熊本高校卒業。
2004年 東京大学医学部医学科卒業。
2014年 東京大学医学系研究科内科学大学院博士課程卒業(医学博士)。
2014年-2020年3月 東京大学医学部付属病院循環器内科助教
2020年4月 軽井沢病院 総合診療科医長、信州大学社会基盤研究所特任准教授、東京大学先端科学技術研究センター客員研究員、東北芸術工科大学客員教授(山形ビエンナーレ2020 芸術監督)
2021年1月 軽井沢病院 副院長
2022年4月 軽井沢病院 院長

2020 年から始まった疫病は、そう容易くは、おさまってくれません。
ウイルスに加え、人工的な情報の同時多発的な伝染により、生命界と人工界が入り混じって世界は混迷を深めています。

分断や分離が加速していくこの世界の中で、芸術や文化活動こそは、曖昧で不明瞭なやり方により、両極の世界をつなぎ、むすび、橋を架ける働きをしてきました。
魂が失われたのなら、深い井戸を掘って魂を取り戻しに行く必要があります。
魂が壊されたなら、いのちの混沌に飛び込み、新しい魂を受胎させ創造する必要があります。
いのちには死が内蔵されていますが、死を上回る生を創造し続けてきたことにこそ、いのちの流れが宇宙的な時間の中で連鎖し続けてきた、いのちの秘儀があります。

表面的にはつながれなくても、心の深い井戸を介して、横穴によりつながることができます。そうした深い井戸の鉱脈は、芸術を生み出す泉でもあります。
「いのちの混沌」の中で、わたしたちは開かれた想像力を持ち、闇の中でも一条の光が差し込むタイミングを見失わないように。いのちの混沌を越えて、いのちの灯を交歓し合う。差し出し合い、与えあう場こそが、新しい芸術祭という場になります。
いのちの深みを追求し体現して生きる表現者たちが集う場を山形に創造し、未来への灯台として芸術祭という光を灯したいと思います。それはこの世界の治癒行為になるでしょう。