ファイン・アートと
オリジナル・キャラクター
想像の世界をリアルにする
立体造形力を育む
彫刻で育まれる造形力と思考力をベースとして、ファイン・アートの表現から現代的でオリジナルなキャラクター造形まで、立体造形の可能性を拡張します。思い描いたものをカタチにできる自由で柔軟なモノづくりを目指し、伝統的な技法やデジタル技術などを幅広く学ぶことで、分野を横断して活躍できる人材を育成します。これからの社会を面白くするためには、AI やデジタルツールなどの効率性にアートの創造性を加えることが不可欠です。彫刻やキャラクター造形の学びでは、さまざまな素材に触れ、手でカタチを作ることで、想像を超えた多くの発見とアイデアが生まれます。作る力を身に付けて、未来を切り拓いていきましょう。
前身の「美術科 彫刻コース」紹介動画
Feature
特徴
アナログとデジタルを複合した柔軟なカリキュラム
彫刻とキャラクター造形という2つの分野を包括しながら新たな表現を開拓するために、手でものを作りあげるアナログな力の育成に加え、デジタル技術を併用する柔軟なカリキュラムが組まれています。従来の彫刻素材である自然素材を用いて基礎的な造形力を高め、3Dソフトによるデータ作成やサンプリングも積極的に取り入れながら作品制作を展開していきます。
自由に素材を選びながら専門的に学べる立体工房
塑造(粘土での造形)、石膏型取り、石彫、3D CAD、金属彫刻、木彫、シリコン型、樹脂、塗装など、基本的な技法を一通り学んだのちは自分の方向性に合わせて素材を自由に選択して表現力を磨いていきます。広く充実した立体工房を使いながら、作家として活躍する専門スタッフの指導により高度な造形技術を学ぶことができます。従来の造形素材に限らず、3Dプリントや、映像、写真、既製品に至るまで、表現に用いる素材は多種多様です。自分の可能性を最大限に引き出せる環境が整っています。
自然や地域を最大限に活用
毎年秋におこなう「きこりワークショップ」など、アトリエの外に出て自然を利用した学びが多く、素材の発生・調達から立ち会うことができます。大学そのものが自然に囲まれており、その中で創作のイマジネーションを広げられるのも魅力。ものづくりの源流を体得できる環境があります。また授業で作った石彫作品を東北最大級の遊園地リナワールドの和風庭園に設置するなど、作品を通して地域と関わる機会にあふれています。
表現の幅を広げる横断的・実践的な学修
縦糸となる専門的な彫刻のカリキュラムに、横糸として美術科での横断型授業が組まれています。美術全般的な技術と知識や、他の専門分野の表現方法についても学べる貴重な機会。作品制作以外にもポートフォリオ作りや写真撮影、展覧会の企画・運営など、社会で役立つ実践力を他コースの学生と一緒に段階的に学びます。自分自身の生かし方について、広い視野を持って主体的に考え行動する力が身に付きます。
Curriculum
授業紹介
開放的な自然環境で感性を磨きながら、様々な素材と造形技術を習得し、現代的でオリジナリティのある表現テーマを探求します。
1年次
感性を見つけ開拓する
立体制作で大切なのは豊かな感受性と観察力。自然や人体に潜む形の魅力を発見する力を養います。粘土による制作と3Dデジタル造形を通して、構想から作品を実現するプロセスを学び、様々な作品制作の基礎となる造形力を身につけます。
〈 講義 〉 | 〈 演習 〉 | 〈 実践 〉 | |
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前期 |
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後期 |
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2年次
本格的な立体造形技術を習得する
石彫、金属彫刻、木彫、3DCAD、シリコン、水性樹脂、複製技術、塗装技術など、彫刻とキャラクター造形の幅を広げる多様な技法を習得。各素材の特性を理解し、さまざまな道具や機材を扱いながら作品を制作します。
〈 講義 〉 | 〈 演習 〉 | 〈 実践 〉 | |
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前期 |
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後期 |
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3年次
多様な表現を獲得する
表現のテーマを探りながら、個性と方向性を深掘りし、価値観を拡張します。彫刻とキャラクター造形のオリジナリティ獲得を念頭に、4 年次へつながるテーマを見つけ出し、社会との関わりや現代性についても考察します。
彫刻演習6:テーマを形にする/作品テーマのリサーチと実験制作を通して表現の方向性を定め、素材・モチーフ・サイズなど、適した方法を探ります。作品の効果的な見せ方についても学び、プレゼンテーション力を高めます。
〈 講義 〉 | 〈 演習 〉 | |
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前期 |
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後期 |
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4年次
魅力的な作品空間を作り上げる
スケール感のある作品制作に向かう時間は正に4年間の集大成。さまざまな造形要素を糧に、専門性を深めながら、各自の研究テーマをさらに磨き上げ、説得力・発信力・独自性を持った作品へと昇華させていきます。
彫刻研究2:卒業制作/4年間積み上げてきた経験や考察を基に、大作や完成度の高い作品を制作します。卒業制作展において、社会への批評性・発信力も見据えた魅力的な世界観を展開していくことを目指します。
〈 演習 〉 | 〈 実践 〉 | |
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前期 |
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後期 |
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活動 Pick Up!
樵(きこり)ワークショップ
大学の裏手・西蔵王高原の山間地区で毎年秋に「樵WS」を開催。2年後期の木彫演習の一環として材料調達の現場を自ら体験し、木という生命の尊さを実感します。コースの学生全員で協働して伐採し、間伐した森林の環境整備も行います。
遊園地に石彫作品を設置
2年前期の石彫演習では、東北最大級の遊園地リナワールドに完成作品を設置。東北の四季をテーマに作品を彫り上げ、公共の場での設置作業を体験します。空間(場所)と時間(季節)を感じながら彫刻を社会に生かします。
SAGAE まちなか芸術祭に参加
山形県寒河江市の市制70周年記念のアートプロジェクトにコースの学生有志12 名で参加。周辺のダムから採取した流木をアップサイクルして巨大なドームを協働制作し、世代を問わず楽しめる作品として、約1 ヵ月間寒河江駅前に設置しました。
鮭川村きのこジオラマ制作|地域連携プロジェクト
「きのこ王国」山形県鮭川村の観光PRのために、洋画・彫刻コースで協働して7mの巨大ジオラマを設置。学生たちでアイデアを練り、半年かけて制作。リアルな造形が大きな話題となりました。社会の期待に応え、解決する力を培います。
Career
進路
取得可能な資格
卒業時取得可能資格
小学校教諭一種免許状、中学校教諭一種免許状(美術)、高等学校教諭一種免許(美術)、学芸員
※指定の科目を受講することで取得できます。
進路一覧
【作家・進学】東北芸術工科大学大学院/彫刻家/現代美術家/陶芸家/デザイナー/アートディレクター など
【教員・公務員】北海道中学校/山形県立高校/山形県立中学校/寒河江市立中学校/千葉県立高校/埼玉県立高校/さいたま市立中学校/羽島市立中学校/阿佐ヶ谷美術専門学校/湘南美術学院/茨城県天心記念五浦美術館/寒河江市美術館/小鹿野町役場/山形県警 など
【専門職】(フィギュア制作)株式会社グッドスマイルカンパニー、デザインココ/(特殊造形・大道具)株式会社せん工房、R-STYLE株式会社、有限会社光製作所/(マネキン制作)株式会社モード工芸/(遊具・モニュメント制作)株式会社アンス/(自動車クレイモデラー)日産自動車株式会社、スズキ株式会社、本田技研工業株式会社/(自営)大工/(職人)古一漆工/(鋳造)株式会社鈴木鋳造所/(仏像修復)株式会社平安美術/(仏具製造)株式会社保志/(webデザイン)株式会社メンバーズ/(ゲーム制作)株式会社トランスリミット/(CAD)東北パイオニア株式会社/(看板デザイン)株式会社日の丸ディスプレー、株式会社クリエイティブダイワ、株式会社協同工芸社/(CAD制作)東北パイオニア株式会社/(石材)山岡石材株式会社/(船舶製造)木戸浦造船株式会社/(塗装)株式会社建塗テクノ/(地域活性)株式会社まちづくりまんぼう/(教育支援)NPO法人こどもの遊びと育ちを支える会 など
【総合職、その他企業】株式会社荘内銀行、株式会社東日本朝日広告社、イカリ消毒株式会社、株式会社LITALICO、キタノ製作株式会社、アークランズ株式会社、株式会社カインズ、東北電化工業株式会社、山形酸素株式会社、株式会社日立ソリューションズ、株式会社イシイコーポレーション、株式会社リプライ、社会福祉法人敬寿会、JAてんどう など
Professor
教員紹介
吉賀 伸
Yoshika Shin
教授/塑造・陶彫
彫刻とキャラクター造形という2つの領域を包括したこのコースは、全国でも類を見ないコースです。芸大美大で学ぶ少し敷居の高いイメージの「彫刻」と、専門学校で技術的に学ぶイメージの「キャラクター造形」からは、この2つの複合を想像しにくいかもしれません。いずれもファイン・アートとエンターテイメントの全く異なる専門分野と思われがちです。しかし、両分野とも立体造形であり、自らの手で作り、自らの想いを立体作品に託すという点で共通しています。この根本に立ち返りながら2つの領域を横断することで、これからの新しい表現、あるいは新しい分野の可能性が期待できます。実際に、現代で活躍するアーティストの多くが二次創作のフィギュアではないキャラクター作品を手がけ、社会に影響を与えています。また、それらのアーティストたちはアートの表現自体も拡張しています。すでにある専門的な作品を作るノウハウからではなく、作者自身の志向を見つめるところから、このコースの教育はスタートしたいと思います。
このコースの創作の原点は「何かを作りたい」「カタチにしてみたい」という率直な衝動や欲求です。私たちはまず、皆さんの内にある野生的・自然発生的な感性を大切にしています。様々な素材に触れ、アナログとデジタルの両方の技術を経験しながら作品制作を重ねることで、きっと自分にしかできない表現に辿り着くことができるでしょう。彫刻では、先人が培ってきた技術や思想に学びながらも現代の多様なメディアを取り込みつつ、新たな表現にチャレンジできます。そこでは、魅力的で唯一無二の形を作ることができる造形力に加え、他者が体験・共感できる空間づくりとプレゼンテーション力が育まれます。キャラクター造形に興味のある人は、彫刻で培われるベーシックな造形力を武器にして、オリジナルな作品制作に挑むことができます。ぜひ、皆さん自身の物語をユニークなキャラクターに託して表現してみてください。