26.02.10
読みもの
芸工大では、学科コースの授業以外にも様々なイベントやプログラムが年間通じて巻き起こっています。今回はその中の一つで、国立新美術館での展示を控えたプログラム「DOUBLE ANNUAL(ダブル・アニュアル。以下、DA)」についてご紹介します。
このプログラムは、東北芸術工科大学と京都芸術大学の全学部生・大学院生を対象にしたプログラムで、全員に応募資格があります。一見すると、「美術作品の展覧会」に見えますが、実はただ展示をするだけではない芸術教育プログラムなんです。

写真は前回の「DOUBLE ANNUAL2025」の会場風景
このプログラム最大の特徴は、第一線で活躍するキュレーター(美術館・博物館などの施設で展覧会の企画をする、いわばディレクターのような存在)を招聘していることです。担当キュレーターが募集、選考、作品制作、展示まで一貫してキュレーションするため、参加者はプロジェクトへの参加を通して成長していくことができます。
まず募集の段階で、キュレーターから「テーマ」が提示されます。2026の募集テーマは「遠くへ旅する者は多くの物語を語ることができる?/Long Ways, Long Lies?」。募集説明会ではこのテーマにした理由や背景がキュレーターから説明されました。
応募者は提示されたテーマに対して作品や展示のプランを考え、応募をします。

2025年4月に開催された説明会の様子
ちなみに、募集の段階で作品のジャンルや手法の指定はされません。また、個人での応募はもちろん、団体やチームでの応募も可能です。
過去の展示作品の表現手法は、絵画、インスタレーション、写真、映像などさまざま。所属学科コースも芸術学部や美術科だけでなく、デザイン系の学科コースからも多くの応募がありました。
DAにはもう一つの参加方法があります。それが「アート・プラクティショナー」です。
この役割は、参加アーティストのサポートや広報媒体の作成など多岐にわたります。言うなれば、アーティストと伴走しながら一緒に取り組んでいく仲間といったところでしょうか。
「自分自身は制作しない」「今回のテーマには合わないかも」なんて人にも参加方法があり、プロの仕事を間近で見ながら非常に多くの機会に触れることができるんです。

7月からは定期的なミーティングや指導を受けながら、制作を進めていきます。そして、展示が近づき作品の全体像が見えてくる12月には、「プレビュー展示」が行われます。
それぞれの大学内ギャラリーで行われる展示で、進捗状況の確認や「実際に展示して見せるときに、どんな注意点や工夫できるポイントがあるのか」を考える機会にもなっています。
本番会場の国立新美術館では非常に広い空間を使えるため、その空間を最大限活かすためのプランを練りながら、作品のブラッシュアップに取り組んでいきます。


作品そのものの話から、展示方法、照明の使い方など、あらゆる角度から検証を行っていきます
本番の会場は東京にある国立新美術館。実はこの設営作業でも、普段の展示とは違う点があります。
それはインストーラー(展示設営業者)の方が入ること。
その道のプロが入ることで、できることの選択肢が増え、さらに客観的な目線でとてもいい位置に設置してくれるんです。
作品を置く位置、照明の場所や強さなどなど、自分だけで展示した場合とは違う、新しい見せ方を知ることが出来ます。インストーラーの方に入ってもらうのは非常に贅沢な経験です(大学の先生たちの展示でさえも、インストーラーの方に入ってもらうことはそう多くありません!)。

そうして設営を終えれば、いよいよ展覧会がスタート。
国立新美術館では様々な展示が開催されているので、たくさんの人に見てもらえます。




このように一見「作品を発表するためのイベント」に見えても、芸工大が関わっているプロジェクトやイベントは「学生の学び」につながっている場面が非常に多くあります。
受験生・高校生の皆さんも参加できそうなイベントがあれば、ぜひ会場を訪れてみてください😊
DOUBLE ANNUAL 2026
「遠くへ旅する者は多くの物語を語ることができる? / Long ways, Long Lies?」
会期:2026年2月21日(土)~3月1日(日)
会場:国立新美術館(東京都港区六本木7-22-2)
DOUBLE ANNUAL 2026 WEBサイト
3つの展覧会を2月~3月に東京都内で同時開催 【卒業・修了制作展[東京選抜]/DOUBLE ANNUAL 2026/TUAD ART-CONCEPT 2026】
DOUBLE ANNUAL 2026「遠くへ旅する者は多くの物語を語ることができる?/Long Ways, Long Lies?」プレビュー展(山形)レビュー/岡部信幸(山形美術館副館長兼学芸課長)