
design:豊田あいか
東北芸術工科大学学長就任記念
松本哲男展|鼓動する大地
「地球をまるごと描きたい」と、勇壮な自然のパノラマを大画面に描き続ける日本画家、松本哲男。本展『松本哲男展
-鼓動する大地-』は、画家の東北芸術工科大学学長就任を記念し、東北芸術工科大学と京都造形芸術大学が連携して企画・開催するものです。
主な出品作のうち、『三大瀑布』シリーズでは、大陸の裂け目にむかって流れ落ちるナイアガラ、イグアス、ビクトリア滝の偉容が、現場での入念なスケッチをもとに、総壁面長55mという巨大さで描かれています。野性的な雄々しさと、山水画の陰影が生動する画中の気韻は、印象派以降の現場制作手法と、日本画の伝統、いわゆる『画室の神秘』から生まれる精神性を融合させた傑作です。
また、世界各地をスケッチブック片手に行脚しながらひたむきに描いた年月は、松本哲男の画に、素朴な自然賛歌では収まりきらない深淵さをもたらしました。「人類遺産の多くが廃墟。自然に抱かれた人の営みはもうない。ならば厳しい野性の景観に教えを請うつもりで一心に描くしかない」。そう画家は語ります。
産声をあげたばかりで、地球規模の破壊が続くこの21世紀。人間中心の世界観の中で、大地にどっしりと腰を据えて描かれた作品群からは、文明社会に向けられた批評的視座も感じられることでしょう。
- 会期=2006年4月1日[土]−20日[木]
- 会場=7階ギャラリー/studio144/ガレリア・ノルド
- 企画=美術館大学構想室/京都造形芸術大学Galerie Aube
- 協力=日光市/佐野市立吉澤記念美術館
●関連イベント
- ○山形展ギャラリートーク『地球をまるごと描く』
- 講演=松本哲男
- 日時=4月1日[土] 14:30−16:00
- ○京都巡回展『松本哲男展|鼓動する大地』
- 会期=2006年4月28日[金]−5月20日[土]
- 会場=京都造形芸術大学Galerie Aube
- ○京都展ギャラリートーク&ライブ
- 『駆け上がる水|大地・身体・絵画の音域をめぐる』
- 対談=松本哲男×鎌田東二(宗教学者/京都造形芸術大学教授)
- 演奏=姜泰煥 Kang Tae Hwan(アルトサックス即興演奏)
- 日時=4月28日[金] 17:00−18:30
●作家プロフィール
松本哲男 Tetsuo Matsumoto
- 1943
- 栃木県生まれ/日本画家/宇都宮大学教育学部卒業/高校卒業後、日本画家塚原哲夫氏に師事
- 1972
- 日本美術院院友に推挙、今野忠一氏に師事
- 1974
- 日本美術院特待
- 1983
- 日本美術院同人
- 1993
- 東北芸術工科大学芸術学部美術科(日本画コース)助教授
- 1994
- 日本美術院評議員
- 1996
- 東北芸術工科大学術学部美術科(日本画コース)教授
[主な受賞]
- 1974
- 再興第59回院展 日本美術院賞・大観賞
- 1984
- 芸術選奨文部大臣新人賞
- 1989
- 再興第74回院展 文部大臣賞
- 1993
- 再興第78回院展 内閣総理大臣賞
- 1994
- 栃木県文化功労者 ほか多数