フライヤー

デザイン:鈴木敏志(JEYONE)

commitment1−は

『commitment1−は』 中村桂子|Keiko Nakamura
木版、和紙/195.5×228×5cm/1999年

堆積(2)

『堆積(2)』 中村桂子|Keiko Nakamura
木版、和紙/126×273×5cm/2003年

balance 96−10

『balance 96−10』 中村桂子|Keiko Nakamura
木版、塩化第二鉄、和紙、アルミ板/90.5×102.5×5cm/1996年

フェルト「色切/shikiri」

『フェルト「色切/shikiri」』
エマニュエル・ムホー|Emmanuelle Moureaux

ABCクッキングスタジオ(料理教室/空間デザイン)

『ABCクッキングスタジオ(料理教室/空間デザイン)』
エマニュエル・ムホー|Emmanuelle Moureaux
東京、京都、大阪、福岡(全国82スタジオ完成)/2004年〜進行中

arp hills(ヘアメイク&ビューティサロン/建築+空間デザイン)

『arp hills(ヘアメイク&ビューティサロン/建築+空間デザイン)』
エマニュエル・ムホー|Emmanuelle Moureaux
埼玉/2007年

TUAD mixing! 2009

中村桂子×エマニュエル・ムホー
色層/shikiso:呼応する色たち

  • 会期=2009年7月23日[木]−8月7日[金]
  • 会場=東北芸術工科大学7階ギャラリー
  • 時間=10:00−18:00(土曜は17:00まで/入場無料)
  • 休館日=7月26日[日]
  • 主催=東北芸術工科大学
  • 企画・お問い合わせ=美術館大学センター
    Tel: 023-627-2091 E-mail: museum@aga.tuad.ac.jp

音に重さ、深さ、硬さ、温かさ、響き、曖昧さがあるように、色にもそれらは存在する。そして色が重なり合うプロセスもまた、ひとつひとつの音が重なって音楽が作られていくプロセスとよく似ている。本展覧会は、異なる色の諧調、色の質感、色の層(レイヤー)によって構成され、それらが呼応しあっている。それはまるで空間という五線譜に、軽快なリズムと揺らぎあるメロディが交響曲を奏でているかのようである。身体感覚をフルに働かせ、色の織りなす歓喜と恍惚感をじっくりと味わっていただきたい。
美術館大学センターが主催するTUAD mixing!は、学部学科および専門領域の枠組を超えたコラボレーション企画である。初の試みである「色層/shikiso」は、芸術学部教員の中村桂子(版画家)とデザイン工学部教員のエマニュエル・ムホー(建築家・デザイナー)による色の協演。
中村桂子は版という物質が紙という平面に刷られていくプロセス、いわば現実(三次元)と虚構(二次元)が行き来する世界に魅せられ、版画家の道を歩み始めた。そして今までの木版画の既成概念を超えた新しい試みを果敢に続け、版画とは思えない独自の表現で新境地を切り開いた。モノトーンカラーを用いた深く味わいのある作風から、近年は淡い中間色にモアレ効果を落とし込んだ輪郭のはっきりしない作風へと変化している。包み込むような柔らかな色合いの前に佇み耳を澄ませると、しなやかな旋律が聴こえてくるかのようだ。恍惚感に身を委ねながらいつまでも作品の音色に耳を傾けていたくなる。
一方エマニュエル・ムホーは、1996年に来日以降、日本の伝統的なふすま、障子、のれんなどに着目し、空間をフレキシブルに区切る機能とデザインを追及した。その結果生まれたのが、色によって空間を区切る「色切/shikiri」という概念である。エマニュエルが用いる色彩は、ヴィヴィッドで見る人の目を楽しませてくれる。華やかな原色がグラデーションとなってリズミカルに展開していく様子は、高揚した気分で奥へ奥へと歩を進める効果をもつ。本展覧会では5メートルのフェルトをランダムに配置し、展示空間の深部へ誘い込むインスタレーションを行う。ヨーロッパの伝統的な石造りの街並を見て育った彼女は、東京に来てカラフルな立て看板、ネオンの色彩に衝撃を受けたという。
中村桂子×エマニュエル・ムホー。TUAD mixing! によって出会ったふたりの試み「色層/shikiso」は、いかなるドラマを展開してくれるのだろうか。ふたりの織りなす呼応する色の戯れを思う存分楽しんでいただきたい。
本展覧会キュレーター 和田菜穂子[美術館大学センター准教授]


●Events

  • アーティスト・トーク「色を重ねる」
  • 日時=7月28日[火]18:30−19:30(申込不要)
  • 会場=東北芸術工科大学7階ギャラリー

●Artist

  • 中村桂子|Keiko Nakamura
  • 版画家/芸術学部美術科版画コース准教授
  • 1966年東京生まれ。1990年東京造形大学造形学部美術学科T類絵画版表現コース卒業、翌年同大学造形学部美術学科研究生修了。1991年第59回日本版画協会展山口源新人賞受賞、2000年五島記念文化賞美術新人賞を受賞し、2002年まで五島記念文化財団の助成により英国に滞在。ロンドン・ウィンブルドン美術大学にて制作活動を行う側ら、「Contemporary Japanese Woodblock Prints」エジンバラ・プリントメーカーズ(エジンバラ、2001年)、「Acts of Renewal : Japanese Art Re-Interpreted」ヴィクトリア&アルバート美術館(ロンドン、2002年)など英国各地でグループ展に出展、日本の水性木版画についてレクチャーやデモンストレーションを行う。日本国内では、ギャラリー219(東京、1993年/1994年/1997年)、シロタ画廊(東京、2000年)、ガレリア・グラフィカ(東京、2004年/2006年/2008年)、ギャラリーポエム(東京、1993年/1994年/1995年/1997年)他各地で個展を開き、意欲的に活動を行っている。主なグループ展に「六女人六色版画展」資生堂ザ・ギンザアートスペース(東京、1992年)、「日本の木版画100年−創作版画から新しい版表現へ−」名古屋市美術館(名古屋、2004年)、「VOCA展 現代美術の展望−新しい平面の作家たち」上野の森美術館(東京、2005年)、「KAMOKU」Lab Gallery(ニューヨーク、2006年)などがある。町田市立国際版画美術館(東京)、沼津市(静岡)、東京オペラシティアートギャラリー(東京)、ドレスデン版画素描館(ドイツ)に作品が収蔵されている。2008年より東北芸術工科大学芸術学部美術科准教授に就任。
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  • エマニュエル・ムホー|Emmanuelle Moureaux
  • 建築家・デザイナー/デザイン工学部プロダクトデザイン学科准教授
  • 1971年フランス生まれ。1995年フランス国家建築家免許取得後、エリック・ラフィ設計事務所に在籍。1996年より東京在住。2003年エマニュエル一級建築士設計事務所設立。日本古来のデザインを現代にも活かしたいという想いから、「色切/shikiri」を生みだす。これは伝統的な間仕切りにヒントを得た色とりどりのパーティションシリーズである。「空間を色で仕切る」というコンセプトで、色を平面ではなく、三次元空間を形作る道具として扱っている。主な作品として、建築ではヘアメイク&ビューティサロンのarp hills(埼玉、2007年)、インテリア・デザインではABCクッキングスタジオ(東京、京都、大阪、福岡など全国82スタジオ完成、2004年より進行中)、フィットネス・スタジオのBodies(東京、京都、大阪、福岡など22スタジオ完成、2006年より進行中)、CSデザインセンター(東京、2007年)、野沢アパートメントのリノベーション(東京、2007年)、美ファイン(東京、2003年)他多数を手掛けている。stick chair(2007年)は、100%デザイン東京2007で発表。その他、オゾンギャラリー、インターナショナルギフトショー、100%デザインロンドン、デザインタイド東京、セントラルイースト東京等にて作品を発表している。2005年デザインタイド「Best Installation Award」、2007年・2008年「BEST STORE OF THE YEAR」優秀賞、2007年香港Perspective誌「40 Under 40」賞、2008年「第15回CSデザイン賞」など多数受賞。2009年emmanuelle moureaux architecture + designに改称。2008年より東北芸術工科大学プロダクトデザイン学科准教授に就任。
  • www.emmanuelle.jp
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