建築・環境デザイン学科Department of Architecture and Environmental Design

柴崎愛美|日本住宅における縁側の変遷と現代的価値
栃木県出身
山畑信博ゼミ

 コミュニティの場としての縁側の役割が終わりつつあり、時代の流れ(ライフスタイルの変化・技術の発展)によって縁側は減少しつつある。本研究ではこのような縁側の変遷を歴史の記録として残し、その減少理由の背景を明らかにし、今後の縁側の在り方を示すことを目的とする。調査方法として主に文献調査を行い、縁側のある住宅の平面図や立面図、配置図などから縁側の形態の類型化等をし、分析・調査を行った。

  縁側タイプは大きく分けて6つに分けられる。一部屋複合型、廊下型、単室CS型、単室X型が従来の縁側タイプであり、現代の縁側はLDK型、Te型となっている。単室CS型は客室空間と寝室空間に隣接している縁側であるが、明治維新後客室空間から積極的に西洋化されていったこと、家族空間を重要視する考えが改まり、客室タイプの縁側が消滅していった。また西洋化と部屋の独立性とともに、縁側は和室という名の多目的室に付属されていく。その縁側が単室X型である。その縁側タイプも機能性が重視される住宅変化の中、次第に減少していった。

 縁側の減少は客室分離からはじまり、外廊下としての役割が強くなったことが要因であると考察する。しかし減少する縁側も時代に合わせて姿を変えて、存在を保っている。それは機能性重視の住宅が流行している中、日本従来の独特な空間を好む人や価値を見出している人が一定数いる事実があるからだ。縁側が減少していくことは自然の流れといえるかもしれないが、世の中からなくなることはないだろうと考える。また縁側が減少していくことによって、縁側は非日常邸空間となり新たな価値が見一出せるのではないか。