建築・環境デザイン学科Department of Architecture and Environmental Design

鈴木凱也|山形市中心市街地に残る蔵の現状とその継承〜データベースに基づいた住民理解の手法〜
山形県出身

 山形市の町を歩いていると、住宅や店舗に紛れて立派な蔵が多く存在する事に気が付く。それらは一見、きちんと手入れされて、きれいな状態を保ったまま残されているが、それは有名な酒造であったり、街の観光スポットであったりと、商業施設として使われている蔵が多い。その一方で、住宅街にも蔵は多く存在し、住民が個人で所有している蔵だとわかる。しかし、その多くは現在使われておらず、いらなくなった物を置いているだけの蔵や、長年手付かずのまま残ってしまったのか、外壁が崩れた蔵や、床材が今にも壊れそうな蔵など、立派な蔵にもかかわらず粗末になっているものが多いと感じた。

 さらに、近隣には建物は密集している地帯も多く、老朽化が激しい蔵は倒壊の危険があり、もし倒壊してしまえば近隣住宅に大きな被害が出る恐れがあるなど、立派な蔵にもかかわらず管理が粗末になっているものが多いと感じる。

 このような状態が今後さらに続くと、今以上に蔵の老朽化が進み、山形の町から蔵がどんどんなくなっていってしまう可能性がある。さらに、手付かずの蔵が多く残ってしまうことで、住民たちの蔵に対する考え方がマイナスな方面へと働くようになり、蔵を持つということがデメリットでしかなくなってしまう可能性がある。

 これらの問題を解決するためには、山形に残る蔵についてより深く認識する必要があると考える。現状の蔵がどうなっているのかを理解し、さらに、地域ごとの特色や歴史的な建物であるという価値を明白にすることで、維持継承につながるのではないかと考える。