建築・環境デザイン学科Department of Architecture and Environmental Design

樋口海音|ゴミの持つさまざまな可能性に着目したまちづくりに関する研究
山形県出身
吉田朗ゼミ

 本研究では、ゴミ集積所の現状、ごみについての人びとの意識を知り、改善案を探すことで QOL の向上を考えた。ゴミは、マイナス要因として捉えられる。だが、ゴミを出すという行為は、日常的なものである。そのため、私は、近所付き合いが希薄する現代でゴミを出すことをきっかけとしたコミュニケーションについて考えた。

 ごみ集積所が人のコミュニケーションの場、現代の井戸端会議の場となると仮定し、調査を進めた。対象地を山形県山形市みはらしの丘に設定する。みはらしの丘住民のゴミ出しの様子を観察した。火曜日と金曜日の可燃ごみの日、6 時00分から8 時00分の間を調査時間とした。ルートを自転車で8分以内の距離のものを3つ設定し、何度も巡回した。期間は、9月2日から11月1日である。交流の多いルートと少ないルート違いとしては、早朝に草むしりといった庭作業や洗車をするといった庭先での活動が見られた。そのために、人が外に出ている時間が長く交流が生まれやすい地域であったと考えられる。観察調査を行ってみて、ごみ集積所で多くの挨拶を交わす人びとの様子が見られた。また、交流の多い地域では、10日間のうち6日間に会話がみられ、計10回の会話を確認できた。

 今回の観察調査を行い、ごみ集積所はみんなが使う場所であり、臭いの点からも会話をする場所に向かないことが分かった。このことを踏まえた上で、交流に向くような場所について考えた。私は、手洗い場、屋根、椅子、自販機、共同コンポストを設置することで、交流が増えるであると結論付けた。手洗い場を設置することでごみ集積所までの動線ができ、共同コンポストにより、朝以外の時間の交流も生まれるであろう。ごみ出しというのは、日常的、些細なコミュニケーションのきっかけになる可能性あることが分かった。