建築・環境デザイン学科Department of Architecture and Environmental Design

武者正護|山形市中心街における自転車駐車場の配置とデザインに関する研究
山形県出身
吉田朗ゼミ

 本研究では山形市の七日町並びに本町の自転車道周辺及び済生館前地下駐輪場を対象地とし、自転車への罰則が強まってきている昨今における山形市の中心街の駐輪状況と自転車の環境についての把握と、よりよい自転車環境のための駐輪場に関する提案を目的としている。

 駐輪の環境と状況の調査として、対象地内で分けたエリアと時間ごとの駐輪されている自転車の台数を計測した。駐輪後の目的地については、出発地点・目的地・駐輪場所について確認を行った。その際、駐輪場所と目的地との距離も確認した。またエリアごとに目的地となった回数の1日の平均数を出した。

 1つ目の調査は、済生館前地下駐輪場のグラフの形を基にすると、平日の他のエリアはグラフを逆さにしたような形が見られ、休日は済生館前地下駐輪場の駐輪数が減り、他のエリアへの駐輪が増え、グラフも似たような形が見られた。2つ目の調査では目的地との距離は全体的に0~6mと近い距離が多く、目的地となった回数はエリアごとに差が見られた。

 これらの結果から、図1のような駐輪スペースを歩道内の自転車道側に設けることが有効であると考えた。形と寸法としては図2のようになり、長さは空いたスペースの距離に合わせる。また、図3のように決められた台数の駐輪スペースを超過する自転車が見られたため台数に明確な制限を設けない。提案のメリットとして目的地の近くに駐輪が可能であること、歩行者と自転車の別化の補助、設置する際のコストが少ないこと等があげられる。設置場所については目的地となった回数が多かったエリアへの設置を基本とし、既に駐輪場がある場所は除き、設置できるスペースが少ない場所は近くのエリアで補った。

 山形市の中心街に必要なのは数か所に設置された大規模な駐輪場だけでなく、それ以上に規模は問わず目的地の近くにある駐輪場だと考えている。今回の提案の結果として自転車の利用者の増加、それによるさらなる環境の整備、環境が整うことで自転車を利用している消費者の施設内での利用時間の増加や、立ち寄りやすい環境になることで利用者の増加などが期待できる。自転車の利用者にも地域内にもメリットがあり、かつ管理者への負担が少ない駐輪場所を設置することで自転車の環境のさらなる向上と社会の活性化が見込めるのではないだろうか。

図1 提案の設置例

図2 提案の寸法

図3 駐輪スペースを超過している様子