映像学科Department of Film and Media

[優秀賞]
阿部夏実|かぼちゃに祈る
福島県出身
岩井天志ゼミ
アニメーション

祈りをテーマに描いたアニメーション作品。祈りの経験は誰にでもあるもの。この作品を通して、その経験を振り返り、祈りの行末や自身の変化などを思い返して欲しい。



岩井天志 教授 評
「かぼちゃに祈る」はストーリー、構成共にしっかり練られ、それを作画技術で支える見応えのある短編アニメーションである。人間の普遍的な営みである「祈り」をテーマに主人公の少女と祖母の内面を丁寧に描いている。幼い頃、冬至かぼちゃを顔にかけ火傷を負った少女とそれを自分のせいと悔やむ祖母。祖母のお葬式で「かぼちゃ」と名前をつけたランチュウ(金魚)に「火傷の傷が治り、笑顔を取り戻してくれますように」と祖母が毎日祈っていたことを少女は知る。
当初この作品は、「祈りの姿は美しい。その美しい姿をアニメーションで描きたい」という漠然とした企画から始まった。断片的な、ビジュアル重視の企画から一変し、物語を立ち上げ、何度も構成を練り、絵コンテをしっかり描き込んだ。ビデオコンテの試写の際、既に完成が見えるものとなっており、阿部自身もこれはいけると思ったに違いない。
この4年間で作画におけるカメラのアングル、画角、フレーミングの技術を習得し頭の中のイメージをしっかり描けるようになった。
卒業後はアニメーション制作会社で商業アニメーションの仕事に就く。
彼女が監督する作品を観る日を楽しみにしている。