優勝(文部科学大臣賞)・市民賞・大学生賞・高校生賞

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『レシート日記』

伊東高等学校城ヶ崎分校(静岡県)
渡邉萌香(3年)/山下摩琴(3年)/土田歩美(3年) 指導教員:大津忍 教諭

レシートを使った日記の新しい形。

みなさんの財布の中には1枚や2枚のレシートが入っていると思いますが、そのレシートをどうしますか。捨ててしまう、はじめからもらわない、という人も多いのではないでしょうか。
私たちが提案したいのは、レシートを使った新しい思い出の残し方、『レシート日記』です。
レシートの中には、日付、時間、金額、レジを売った人の名前、サービスのお知らせなど、たくさんの情報が詰め込まれていますが、『レシート日記』は、フッターの部分に数行の罫線を付け加えてもらうだけです。商品を買った時のエピソードや気持ちなどをそこに書き込めば、当時の思い出が金額とともにリアルによみがえってきます。
「彼への誕生日プレゼントを買った。安物だけど喜んでくれると嬉しい!」「初めてのデートの食事代。マジ緊張した。何しゃべったのかよく覚えていない。でもまた来たいって行ってくれた。やったぜ!」…などなど、私たちの人生の思い出をレシートと一緒に残しておくと、今までの日記とはひと味違った新しい日記になると思いませんか。
お店の経営者にとっても、お客さんが書いた日記をスキャンすることで、コメントや商品の感想、お店に対する希望や意見、苦情などお客さんの声を経営に活かすことができます。抽選で景品が当たるなど工夫すれば双方にメリットがあり、『レシート日記』の普及にもつながります。
例えば、ひとりの女性の妊娠から出産・子育て、成長・進学・就職、そして結婚・初孫の誕生と人生を振り返ったとき、節目節目に書いた『レシート日記』には、子育てにかかった費用とともに、その人の人生が記録されていきます。子どもの結婚式にこれをビデオで流したら感動的で、きっと親に感謝するはず。
新しい思い出の残し方として、文字を書くことが少なくなった現代人には、特にお勧めです。

『レシート日記』

レシートを使った日記の新しい形。

二次審査時の提案パネル  PDFダウンロード

受賞者の声

渡邉萌香 Moeka Watanabe

渡邉萌香 Moeka Watanabe

今回のデザセンが初めての全国大会でとても緊張していましたが、チームの2人は全国大会の経験があるので自然と不安はありませんでした。本番まで練習もあまりできず、ハプニングもたくさんありましたが、なんとか乗り切ることができたので良かったです。この3人でデザセンに出場して優勝できて、とても嬉しかったです。ありがとうございました。そして、レシート日記が本当にできたらいいな!

山下摩琴 Makoto Yamashita

山下摩琴 Makoto Yamashita

私はこれで2回目の出場でした。前回は逃した優勝を、今回手にすることができて、とても嬉しいです。メンバーが受験や就職活動で、全員が集まれる時間も限られていました。私は台詞を覚えるのが遅くて、何回も2人に付き合ってもらいました。今回のデザセンは、このメンバーだからこそ支え合って乗り切れたこともあると思います。楽しくて大変で、嬉しい大会でした。ありがとうございました。

土田歩美 Ayumi Tsuchida

土田歩美 Ayumi Tsuchida

私は小学6年生の時から、この日記をつけ始めました。読み返してみると、「親友とお揃いでキーホルダーを買った」「母の日にミニバラの鉢植えをあげた」など、そのレシートたちはたくさんの思い出を持っていました。私たちのプレゼンがきっかけでレシート日記を始めた人がいたとしたら、それはとても素敵なことです。小さな提案で多くの人の心を動かせたことが、私にとって最高の経験でした。

大津忍 教諭 Shinobu Otsu

大津忍 教諭 Shinobu Otsu

デザイン選手権に応募するようになってから7年、念願の初優勝を飾ることができました。今回のレシート日記が決勝に選ばれたとき、真先に思ったのは「どうやってプレゼンをする?」ということでした。レシートというほんの小さな紙切れをあの大きな会場でどうやってアピールしたらいいのか、正直言って困りました。レシートの拡大模型をつくっても、仕組みの説明だけでは3分程で終わってしまいます。「ドラマにでもしたら?」という誰かの一言からあのプレゼンができたのですが、これほど多くの支持を得られるとは正直全く思っていませんでした。多くの場合捨てられることが多いただのレシート、おそらく1枚当たりの単価にするとデザセン史上最も安価な提案ではないでしょうか。そんなちっぽけな物でもちょっとした工夫を加えるだけで全く価値観の違うものになってしまう、アイデアの種はほんの身近なものの中に潜んでいるということを改めて思い知らされた大会でした。