芸工大卒展とは?

「振り子はなぜ動きつづけるのか?」学生時代に、あっと驚いた鮮烈な気づきを80枚の精密な歯車で作品化。

梅村卓実(プロダクトデザイン学科4年)

幼少の頃から手を動かすのが好きで、学生時代も木工機械がそろった実習棟にいることが多かったという、プロダクトデザイン学科4年の梅村卓実さん。卒業制作には、からくりの金字塔のひとつといわれる振り子時計を制作しています。端材を切り出した大小様々な80枚の歯車と、何度も検証を重ねたオリジナルの機構は、見る者を圧倒するインパクトと精巧さを誇っています。梅村さんが一番にこだわったのは、全て自分の手で作ること。電気を使わずおもりの重さだけで動く仕掛けと、手で加工ができる木を素材に選び、4年間をかけて会得した技術の全てを注ぎ込むようにして制作にあたってきました。この振り子時計を制作するきっかけとなったのは、授業で学んだ振り子の仕組み。「振り子はなぜ動き続けるのか?」その答えを理解した時の鮮烈な感動を、目にした人が味わえるような作品にしたい、と機構に工夫を凝らしました。梅村さんは「一部のデザイナーやプロの人だけではなく、一般の来場者にこそ見て驚いてほしいと思っています。おもりの重さが歯車を動かす駆動部は意図的にわかりやすくしているので、ずっと見ていたら仕組みがわかるはずなんです」と話し、来場者の気づきに期待を寄せています。