建築・環境デザイン学科Department of Architecture and Environmental Design

地方都市における新しい働き方の提案
山下千穂
青森県出身
馬場正尊ゼミ

 近年、グローバル化とともに様々な業界でICT化が発展しており、我々の生活も日々変化している。最近は特に新型コロナウイルス感染症の影響で世の中が大きく変化し、生活様式もそれに伴って変化している最中である。その中でも、最も大きな変化があったのは「仕事」ではないか。今後は「会社に所属しながら、場所に縛られずにどこでも働くことができる」時代がより近い未来であると考える。そこで、地方都市での、廃校を利用した新しい働き方やライフスタイルのイメージを提案する。青森県深浦町立旧明道小学校付近には、飲食店や遊び場がないため、周辺住民は家と職場の往復が日常になっている。私自身、高校時代まで深浦町で過ごしてきて、車、または公共交通機関を利用しなければ、友人や家族と遊んだり、外食をしたりできないことが不便だと感じていた。また、周辺には高齢者が多く、私の祖父、祖母からは友人との交流の場がないと聞いた。
 廃校となったこの校舎が、子どもから高齢者まで様々な年代の人々が関わり、まちのヒト、モノ、コトが集まり交差する、まちのプラットフォームとしての役割を果たせるのではないかと考えた。散歩がてらに立ち寄れる距離に、人が集まる場所があれば、近隣住民のコミュニティが深まるだろう。校舎内には誰にでも使いやすく、敷居の低いコワーキングスペースと、企業が安心して使えるレンタルスペースを設け、新しい働き方が出来る場をつくる。また、施設の利用者以外も気軽に立ち寄れる飲食店、校舎裏にある畑を活用した農業体験スペース、近隣の子供達の遊び場、勉強場所、子供を持つワーカーのための託児所の役割を果たす、子どものためのワークスペースを設置する。さらに、定期的なイベント開催によって、ここに集まるすべての人が交流し、関係を築くための機会を定期的に設け、新たな出会い、ビジネス、雇用が生まれるチャンスを積極的に作る。
 働き方に対する世の中の形や考えが大きく変わり、現在に至っていることがわかった。これからも我々の働くことを含めた生活は、どんどん変化していくことだろう。我々はその変化に対応、順応し、生き抜いていかなければならない。自分の人生は自分で選択でき、生き方も、働き方も100人いれば100通りある。それらに対応できる柔軟な空間があることで、今後我々の生活の中にあれば、もっと自由に、豊かに、楽しく働き、生きることができる。