デザイン:鈴木敏志(JEYONE)

デザイン:鈴木敏志(JEYONE)

『横浜トリエンナーレ2005 FMヨコトリ』 みかんぐみ|MIKAN神奈川県横浜市/2005年

『横浜トリエンナーレ2005 FMヨコトリ』 みかんぐみ|MIKAN
神奈川県横浜市/2005年

『横浜開国博Y150 はじまりの森』 みかんぐみ|MIKAN神奈川県横浜市/2009年

『横浜開国博Y150 はじまりの森』 みかんぐみ|MIKAN
神奈川県横浜市/2009年

『愛・地球博トヨタグループ館』 みかんぐみ|MIKAN愛知県愛知郡/2005年

『愛・地球博トヨタグループ館』 みかんぐみ|MIKAN
愛知県愛知郡/2005年

『DAIKOKUYU TOKYO 2007』屋代敏博|Toshihiro YASHIRO

『DAIKOKUYU TOKYO 2007』
屋代敏博|Toshihiro YASHIRO

『CHIYONOYU TOKYO 1995』屋代敏博|Toshihiro YASHIRO

『CHIYONOYU TOKYO 1995』
屋代敏博|Toshihiro YASHIRO

『TSURUNOYU YAMAGATA 2009』屋代敏博|Toshihiro YASHIRO

『TSURUNOYU YAMAGATA 2009』
屋代敏博|Toshihiro YASHIRO

『HINODEYU YAMAGATA 1994』屋代敏博|Toshihiro YASHIRO

『HINODEYU YAMAGATA 1994』
屋代敏博|Toshihiro YASHIRO

TUAD mixing! 2010

みかんぐみ×屋代敏博
連続する時空間

  • 会期=2010年7月15日[木]→8月1日[日]
  • 会場=東北芸術工科大学7階ギャラリー
  • 時間=10:00→18:00(土曜は17:00まで/入場無料)
  • ※日曜祝日休館(8/1はオープンキャンパスで開館10:00→16:00)
  • 主催=東北芸術工科大学
  • 企画・お問い合わせ=美術館大学センター
    Tel: 023-627-2091 E-mail: museum@aga.tuad.ac.jp

知っているようで知らないあの先生。昨年からスタートしたTUAD mixing! は本学教員のプロとしての仕事を紹介する展覧会である。第2回目は建築家みかんぐみと写真家屋代敏博。本学だからできる贅沢な組み合わせである。
みかんぐみは4人の建築家ユニット。本学教員の竹内昌義は〈あまなつ〉と称し、〈ぽんかん〉=曽我部昌史、〈いよかん〉=加茂紀和子、〈きんかん〉=マニュエル・タルディッツで構成されている。みかんは一皮むけばいくつかの房によって成り立っている。房には果肉のつぶが詰まっている。房に内包されたつぶは彼らの頭にあるアイディアの粒子といえる。それを絞ればフレッシュな果汁となる。彼らの作品はそれぞれの房から絞りとられたおいしいミックスジュースである。ちなみに竹内にとって房のひとつは大学教育にあたる。リユース、リサイクル、ローコスト。そして身近にある日用品。これらは一貫して彼らの活動の根底にある。たとえば工事現場でよくみられる三角コーン。彼らの手にかかれば、移動FMラジオ局、チケットブースなどに様変わりする。さかさまにしてテーブルの脚にもなる。日常のものが集積することで別なデザインに生まれ変わり、従来の機能から別なものに変化する。それがみかんぐみのマジックである。さまざまな文脈(コンテクスト)を読みとり、与えられた条件の中で最大の効果を生もうとする行為の結果なのである。本展覧会では連続による新しい産物が出品される。
写真家の屋代敏博は、卒業制作から継続して全国各地の銭湯を撮り続けている。一見、合わせ鏡のようにみえるが、そうではない。男湯と女湯をそれぞれ個別に撮影し、2つの空間をつなぎ合わせているのである。これぞまさしく、ふたつが合わさってひとつになることの象徴といえるだろう。現実を映しながらもイリュージョンのような世界。彼はまた、銭湯空間の持つ特殊性にも魅了された。銭湯は日本の美が集結した芸術空間である。富士山のペンキ絵、錦鯉のタイル絵等の典型的なしつらえによって、〈極楽浄土〉たる小宇宙が広がっている。その一方で屋代の仕事は、滅びゆく大衆文化の記憶の記録ともいえる。その空間にはかつて豊かな時間が流れていた。カラーンと響き渡る桶の音、ザバーンと流れる湯、真っ白な湯けむり、その奥に見え隠れする裸の人々、彼らの話し声。誰もいない銭湯空間を客観的にフレームに収めることで、心の豊かさを喪失しつつある現代社会の断片を切り取っているのである。〈銭湯を知らない子供たち〉だらけになってしまう諦念の溜息が聞こえてきそうである。
このように本展覧会は「連続する時空間」を切り取ったものである。二組のアーティストによる非日常化した日常の姿を是非とも覗いてもらいたい。
本展覧会キュレーター 和田菜穂子[美術館大学センター准教授]


●Events

  • アーティストトーク
  • 日時=7月27日[火]18:00→19:30(申込不要)
  • 会場=東北芸術工科大学7階ギャラリー

●Artist

  • みかんぐみ|MIKAN
  • 加茂紀和子、曽我部昌史、竹内昌義、マニュエル・タルディッツ
  • 建築家
  • 1995年、NHK長野放送会館の設計を機に共同設立。戸建住宅から保育園、小学校、ライブハウスなどの建築設計を中心に、家具、プロダクトやアートプロジェクトまで幅広くデザインを手がける。おもな作品に、SHIBUYA-AX(2001年、JCDデザイン2001優秀賞)、KH-2@future(2001年、同受賞)、八代の保育園(2001年、熊本県木材協会連合会賞)、上原の住宅(2005年、住宅建築賞奨励賞)、愛・地球博トヨタグループ館(2005年、グッドデザイン賞大賞、ディスプレイデザイン賞優秀賞、ディスプレイ産業大賞)、四季の桜(2005年、JCDデザイン2005入賞)、上野ビルディング耐震改修(2007年、日本建築学会技術部門設計競技「既存建築物の耐震改修デザイン優秀賞」)、大井松田の家(2009年、神奈川コンクール住宅部門優秀賞)、横浜開国博Y150はじまりの森(2009年、JCDデザイン2009銀賞)。現在、横浜市であかね台中学校建設工事中。著書に「団地再生計画/みかんぐみのリノベーションカタログ」(2001年、INAX出版)、「別冊みかんぐみ1」(2002年、エクスナレッジ)、「別冊みかんぐみ2」(2007年、エクスナレッジ)、「家のきおく」(2004年、インデックスコミュニケーションズ)、「POST=OFFICE ワークスペース改造計画」(2006年、TOTO出版)。http://www.mikan.co.jp
  • メンバーの一人、竹内昌義は2001年より東北芸術工科大学デザイン工学部建築・環境デザイン学科助教授。2009年より、同教授。
  •  
  • 屋代敏博|Toshihiro YASHIRO
  • デザイン工学部映像学科准教授
  • 写真家・アーティスト
  • 1970年、埼玉県生まれ。多摩美術大学卒業。映像と演劇を学ぶ。1993年、卒業制作である「銭湯」シリーズで注目を浴びる。初個展「空間シリーズせんとう(銭湯)」(1996年、ツァイトフォトサロン、東京)。それ以降もライフワークとして全国の銭湯を撮り続けている。「LUST UND LEER・日本の現代写真」(1997年、クンストハレ、ウィーンほか)、フィリップモリス・アート・アワード受賞、「FIRST STEPS」(1999年、グレイアートギャラリー、ニューヨーク)。文化庁派遣芸術在外研修員(2000年から3年派遣)。滞在中にアーティスト・イン・レジデンスに数多く参加し、自らが様々な場所で回転し風景に溶け込む「回転回」シリーズの発表を始める。「回転」(2000年、Y・H・スペース、ベルファスト、北アイルランド)、「アルル・国際写真フェスティバル」(2000年、アルル、フランス)。フランス政府とポンピドゥーセンター合同企画による世界遺産古城での滞在制作「建築と風景」(2001年、シャンボール城、バランセイ城、ロワール地方、フランス)。ドイツ・ケルンメディア芸術大学の客員芸術家(2002年)。「横浜トリエンナーレ」(2005年、横浜)、「Sculpture week」(2006年、Art Omi International Art Center、ニューヨーク)、「目黒の新進作家 七人の作家七つの表現」(2007年、目黒美術館、東京)、「日本の新進作家vol.6 スティル・アライブ」(2007年、東京都写真美術館、東京)、「Photography NOW 2009」(2009年、The Center for Photography at Woodstock、アメリカ)。その他個展、グループ展多数。コレクションとしてフランス文化省、ヒューストン近代美術館(アメリカ)、東京都写真美術館など。2007年東北芸術工科大学デザイン工学部映像学科准教授に就任。2008年日本写真協会新人賞受賞。
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