開湯1900年の歴史を持つ「蔵王温泉」(山形市)のメインストリートに、若い世代を中心に新たな蔵王の楽しみ方を提案するフリースペースが生まれつつあります。その活動を提案・企画したのは、美術科・総合美術コース3年生の横田勇吾(よこた・ゆうご)さん(以降、横田さん)です。
横田さんは、国内外で活動を展開しているアニメーションダンスチーム「EdeeT(エディート)」のメンバーで、ニューヨークの「アポロシアター」から異例のオファーを受けて出演した経験も持っています。
2020年9月のグランドオープンの準備をしている横田さんに、高校時代からこれまで経験されてきたことと、これからの活動についてインタビューしました。
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人生を楽しむ自信のなかった高校時代
――大学進学もできたと思いますが、どのようにダンス界に入ったのですか?
高校1年の頃は絵に描いたような落ちこぼれで、高校2年では勉強にはまって成績上位にいたりもしたのですが、大学に行く目的もなく進学することに疑問を持ってしまい、3年生でパッタリと勉強の手が止まってしまったんです。
それからはバスケットボールにはまり自分で練習スケジュールを作って朝5時から夕方まで練習したり、みんなとワイワイするのが好きだったので居酒屋で熱心にアルバイトをする日々でした。それぞれの活動は一生懸命にしていたのですが、自分の興味に基づいて行動するほど、進学への思いが薄れていきました。
そんな時、中学時代の先輩が仕事と両立しながらダンスを続けている姿をYouTubeで見て衝撃を受けました。その時は、ダンスだけでやっていけるとは思わなかったのですが、自分の人生を楽しむ自信もなくどうせダラダラ生きるならダンスをやってみるか死ぬかくらいに考えていました。
――エンターテインメントに目覚めたきっかけは?
元々人前で面白いことをするのが好きだったんですが、高校の文化祭の時に、持ち前の身体能力を生かして器械体操やムーンウォークを全校生徒の前で披露して大歓声を受けたことが、ステージに立つ気持ち良さを体験した初めての出来事だったように思います。
地元と連絡を絶ち、東京でダンス修行
――高校卒業後すぐに、東京での本格的なダンス修行を開始されていますね
親にもかなり呆れられましたが、なんとか説得して上京を2年間だけ許してもらい、高校卒業後すぐに東京で一人暮らしをしながらダンスの専門スクールに通う生活に入りました。
午前中はアルバイト、午後は練習の日々。地元の友達は大学生活を楽しく過ごしているような話も聞こえる中で、寂しさから地元に帰りたいと思う気持ちがありました。でもそうした友達との連絡を断って東京でのダンス生活に集中して半年が過ぎた頃、ポップダンスというジャンルで活躍している先生と出会い、そこに通うスクール生たちとの練習やステージ出演をしていく中で、学校という場所しか知らなかった自分の世界がどんどん広がっていきました。
――現在のダンスチームに入るきかっけは?
自分の1つ上の先輩たちが、宮下公園(現:ミヤシタパーク)でよく練習していたのですが、そこで一緒に練習をさせてもらったことが今のメンバーと出会ったきっかけでした。その後に僕を気に入ってもらいチームに入りました。
実は「EdeeT(エディート)」というユニット名は、僕が考えたんです。アニメーションダンスという括りの中にあっても、ダンスのスタイルが違うメンバーたちと一緒に新しいショー(世界観)を作りたいという思いを込めました。