第46回 迫りくる朝~シカゴの巻|かんがえるジュークボックス/亀山博之

コラム

早寝早起き

 前期の授業が始まったなあと思っていたのだが、バタバタ過ごしているうちに、今学期の授業は残り数回。時の流れは早いものだ。毎年こう言っている気がする。どんどん時の流れが速くなっているのか。あるいは、わたしが生き急いでいるから時の流れが速く感じるのか。ま、いいや。

芸工大
早朝の山から芸工大を望む

 以前はレポートや論文などを仕上げるために、徹夜したりすることもあった。が、最近はそれができない。いや、できるのだが、回復するのに数日かかってしまうので、規則正しい生活の中でちゃんとコツコツ仕事をした方が、効率が良いということになっている。そういう理由で、早寝早起きを心がけている。熊に気をつけながら、仕事前に早朝の西蔵王を走ってみたりしている日々だ。

夜が明けてしまうという「焦り」

 というわけで、徹夜はしないように心がけているのだけれど、このあいだ、どうにも夜中を越えてパワポを作ったり原稿を書いたりしなければならない事態に陥ってしまった。先延ばしのせいである。朝日が出てきそうな午前4時前。焦る。そんなとき、たまたま手に取ったレコードがこちら。

シカゴ「長い夜」日本盤
シカゴ「長い夜」日本盤

 シカゴ(Chicago)の「長い夜」である。発表は1971年。原題は“25 or 6 to 4”だ。「25あるいは6、4まで」と直訳してもよいが、それではまるで暗号だ。では、何を意味しているのかというと「4時まであと25,6分」という時刻である。つまり、「3時34~5分」。ちゃんと布団で眠りたいのに朝になっちゃうよ、まいったな、という状況の人であれば理解は容易だ。まさに先日のわたしだ。

Waitin’ for the break of day
夜が明けるのを待ちながら

Searching for some thing to say
言うべきことを探して

Flashing lights against the sky
空に瞬く光

Giving up, I close my eyes
あきらめて、目を閉じる


Sitting cross-legged on the floor
足を組んで床に座って

25 or 6 to 4
4時になる25,6分前


Staring blindly into space
虚を見つめるようにして

Getting up to splash my face
顔を洗うために起き上がり

Wanting just to stay awake
起きていたいだけ

Wondering how much I can take
どれだけ僕にできるだろうか

Should I try to do some more?
もっとがんばってみようか?

25 or 6 to 4
4時になる25,6分前


Feeling like I ought to sleep
眠った方がよさそうだ

Spinning room is sinking deep
グルグル回る部屋が沈んでいく

Searching for something to say
言うべきことを探して

Waiting for the break of day
夜が明けるのを待っている


25 or 6 to 4
4時になる25,6分前

時刻の言い回しあれこれ

 英語での時刻の言い方には“25 or 6 to 4”のようなものが結構ある。たとえば“It’s quarter to ten.”は「10時15分前」。“It’s five past four.”なら「4時5分」だ。こうした時刻の表し方を初めて聞いたときには、かるく戸惑ったものだ。最初に「分」の単位を言うのかよ!と。こんな言い方をする英語圏の人と理解し合うのは長い時間がかかりそうだ、と思ったものである。

25 or 6 to 4
25 or 6 to 4

 ”25 or 6 to 4″は「4時まであと25,6分」である。やることが終わらないのに朝が間もなく来てしまうのだから、邦題に「長い夜」と付いているが、むしろ「早い朝」と付けるべきという気がする。

 学期末である。みなさん、徹夜で乗り越えるのも結構だが、睡眠は大切だ。あまりに長すぎる夜も、迫りくる早い朝も、心身に良くない。どうぞお体お大事に。

 それでは、次の1曲までごきげんよう。
 Love and Mercy

(文・写真:亀山博之)

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亀山博之(かめやま・ひろゆき)
亀山博之(かめやま・ひろゆき)

1979年山形県生まれ。東北大学国際文化研究科博士課程後期単位取得満期退学。修士(国際文化)。専門は英語教育、19世紀アメリカ文学およびアメリカ文学思想史。

著書に『Companion to English Communication』(2021年)ほか、論文に「エマソンとヒッピーとの共振点―反権威主義と信仰」『ヒッピー世代の先覚者たち』(中山悟視編、2019年)、「『自然』と『人間』へのエマソンの対位法的視点についての考察」(2023年)など。日本ソロー学会第1回新人賞受賞(2021年)。

趣味はピアノ、ジョギング、レコード収集。尊敬する人はJ.S.バッハ。