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特別な4年間を経て

今年度の卒業生たちは、世界中がパンデミックに怯えていた新型コロナ全盛期に入学し、いきなり「通学しない」大学生活を強いられた年代です。今となっては、徐々に社会がその姿を取り戻していったことを語れますが、当初は友人や仲間と集まるというごく当たり前の「大学生活」が、一体いつになったら始まるのか、それとも4年間このまま続くのか、そんな大きな不安を抱えたまま、マスクをつけてパソコンの画面に“通学”していました。

そんな彼ら・彼女らが無事に卒業します。なんと喜ばしいことでしょう。前例のない学び方や不自由な制作、リモートを駆使した研究で苦難を乗り越えながら、ついに卒業を勝ち取ったのです。

大学を会場として行われた今年度の卒業制作展は、入場制限もなく、雪も少なかったことから、大変多くの観客のみなさまのご来場を賜りました。また「買える卒展」もご好評をいただき、昨年よりも多くの作品をご購入いただきました。苦しかったコロナ禍に始まった映像配信や、オンライン販売を駆使した「新しい」卒展の良きアイデアは、今年の卒展にも上手く引き継がれ、展覧会全体の厚みとなって昇華されたことは嬉しい進化でした。

アート&デザインを、決して特殊な人間の特別な営みとは考えず、あらゆる社会のイノベーションに活用可能な重要な学問であると提唱する本学は、今年もクリエイティブな卒業生たちを様々な業界に輩出します。

パンデミックを経験し、世界の混乱を見つめながら、それぞれに工夫を凝らした特別な4年間を経て、きっと何事にも怖気づかない強くてしなやかな卒業生が育ちました。彼らこそが、きっとこの世界を素敵に変えてくれるはずです。


東北芸術工科大学学長 中山ダイスケ