建築・環境デザイン学科Department of Architecture and Environmental Design

[優秀賞]
木村遥|NEO墓地~気候変動や人口減少を踏まえた、墓地形態及び埋葬方法の新しい選択肢の提案〜
宮城県出身
佐藤充ゼミ

世界におけるデス・ポジティブムーブメントによる埋葬方法の多様化にあたり、日本に求められる持続可能な墓地の在り方とはどのようなものか。
本制作は、「気候変動や人口減少等の社会問題を踏まえ、墓地形態及び火葬のオルタナティブ提案すること」を目的とする。環境に負荷を掛けない生物循環の中での埋葬方法を考えると同時に、地域におけるお墓を所有するお寺の役割を見直し、持続可能な地域コミュニティの確立を目指したデザインを提案する。


佐藤充 准教授 評
高齢化や都市への人口移動により地方都市の墓地の維持管理が困難になりつつある。一方、かつてお寺は、地域コミュニティの核となる場であたった。本作品は、墓地の陰鬱な風景への違和感から端を発し、埋葬方法によって温室効果ガス排出を抑制し、墓地の風景を変え、さらに墓地とそこで暮らす人々の関係を再構築する提案である。仙台市中心部の寺町を対象とし、埋葬の歴史、対象エリアの綿密なリサーチを背景に、「火葬」から「有機還元葬×樹木葬」にシフトし、お寺の高い塀を取り払い、多様なアクティビティを誘発するペデストリアンデッキでネットワークを構築することによって、境内は都市生活者の日常生活の場となり、本堂はコミュニティスペースとして自治的に運用される維持管理システムにまで提案が及んでいる。葬法にまつわる様々な事象を対象とした解像度の高い提案は、時にコミカルにプレゼンテーションが展開し、死生観までも再考させられた。