歴史遺産学科Department of Historic Heritage

山形城における最上時代の軒丸・丸瓦から見る造瓦技術
志藤琢磨
福島県出身 
北野博司ゼミ

本研究では、最上氏時代の山形城の軒丸瓦及び丸瓦の製作に複数の技法が存在したことを明らかにするとともに、最上氏時代の本丸御殿中央堀跡から発掘された軒丸瓦及び丸瓦を研究対象とした製作技法の考察及び製作技法の復元を行っていく。

研究方法として、軒丸・丸瓦凹面、凸面の技術的痕跡、軒丸瓦では、瓦当についても着目し、瓦造りの一連の流れを通して観察を行った。最上氏時代の本丸御殿の中央堀跡から発掘された軒丸瓦・丸瓦の49点を観察し、最上氏の近世初期の山形城における軒丸瓦の製作技法の考察を行う事を目的として、最上氏時代の本丸御殿中央堀跡から発掘された、軒丸瓦及び丸瓦の観察を行い、特徴的な複数の製作技法の存在を確認することができた。          

それらの各製作技法を含め、先行研究や調査報告書に記載されていないコビキAに見られる細かな差異を含めた技術的特徴の考察を行い、特徴的な技術的痕跡から最上氏時代の山形城には、複数の技術が存在し一つの工人集団だけではなく複数の工人集団が山形城の造瓦に関わっていたことが分かった。また、離型のための布袋に粘土が附着しやすくする為に使われた道具である吊紐痕や棒状圧痕の特徴的な各技術的痕跡の考察から、最上氏時代の山形城の軒丸瓦及び丸瓦の体部の一連の製作の技術復元を行うことができた。

図1丸瓦体部部分名称

図2撚り紐によるコビキA「山形市所蔵」

図3 鉄線によるコビキB「山形市所蔵」