建築・環境デザイン学科Department of Architecture and Environmental Design

「環境にやさしい」が選ばれる時代 -エシカル消費がもたらす環境への影響-
大坂明奈
山形県出身
吉田朗ゼミ

 本研究では「エシカル消費」に焦点を当て、環境に対する人々の考え方やニーズの変化を調査する。加えてこのような消費活動のメリット・デメリットを考察、これらが与える今後の社会への影響を考える。そもそもエシカル(ethical)とは「倫理的」「道徳上」という意味を持つ。本来、地球や自然環境を守る事業や計画を表現する言葉として利用されてきたが、2020年頃からSDGsに関連する重要なキーワードとして製品や行動にも多く用いられるようになった。
 研究方法としてこのような環境保全の考え方が急速に広まった詳しい要因を追究する。その後、まだまだエシカルに対する認知が低いという仮説を立て身近な人々へのアンケート調査やヒアリングを通じて、エシカルの認知度や環境に対する考えを調査する。まず行ったエシカルの認知度調査の結果、山形県ではエシカルの言葉の認知度は極めて低いことが分かった。生産者である寒河江市鈴木さんへのヒアリング調査では、農業における労力に見合う利益が得られておらず環境にやさしい栽培方法には興味がないと回答した。また、主婦層をターゲットした25名の消費者へのアンケートでも同様に、安全で安い野菜が手に入れば生産地は気にしないという結果が多く、高価な無農薬野菜には興味を示していなかった。この調査から、生産者と消費者の間で考えの差や違いはないという結果になった。このような調査を踏まえ、山形県でエシカルを広めるためには若年層の力と認知度の向上が必要不可欠であると実感した。そこで、「エシカル・ショウナイ」さんのInstagramをヒントに、SNSを利用する若年層に向け実験的にエシカルを広める活動を行った。この活動を踏まえ、山形県民へのアプローチが出来た。
 では、私たち山形県民にとってエシカル消費を広げるために重要なのは何だろう。それは数値にこだわらず、環境にやさしい・正しいと自分が感じることを選択してみることではないだろうか。エシカル消費はその自由を奪う物ではない。好きな物を買う・使う・消費するなかで、力を入れすぎず自分が無理なく続けられるものからエシカルを始めることが大切である。