建築・環境デザイン学科Department of Architecture and Environmental Design

山形市に路面電車を -トランジットモールの実現に向けて-
河原彩乃
山形県出身
吉田朗ゼミ

 山形市では公共交通を利用したまちづくりが推進されてきた。また山形市七日町では平成8年3月に「七日町地区街づくりガイドプラン」を定め目標を明確にしている。山形市の姉妹都市であるボルダーが属するアメリカのコロラド州デンバーに刺激を受けたことで、トランジットモールの整備の構想が考えられた。路面電車に揺られながら街を眺め、観光スポットを巡ることができること、降りて外から見ても景観の一部として楽しむことができる路面電車に魅力を感じた。そのような町の魅力の1つになり得る路面電車を山形市にも導入できないかと考えたのが研究のきっかけである。路面電車は景観面だけでなく渋滞を解消して環境に優しく利便性の高い公共交通として注目されている。だが、今だにトランジットモールのイメージは具体的に示されていない。七日町大通りのトランジットモールの実現に向け運行する公共交通の中で、路面電車の導入について様々な面から考察し、函館市の現状を踏まえて山形の弊害や問題を多く抱えた現状に目を向けて七日町の将来像を考える。
 対象地を北海道函館市に設定し様々な調査を行った。調査から得られた2都市間の情報をまとめると、人口集中地区での1km2当たりのDID人口密度での比較では近しく密集度は変わらないことが分かる。函館市内を走っている路面電車の路線図では市民の移動の足になる広範囲の路線と観光地の周りを通るような路線が敷かれている。DID人口密度の高い場所を中心として路面電車が市民の足を支えていると言えるだろう。
 山形市に路面電車を導入し、七日町大通りにトランジットモールを導入することで、歩行者にとって空間の安全を確保できる。柵などの視界を遮るものをなくし、視界が広がることで、文翔館までのシンボルロードとしてふさわしい空間となるだろう。他の交通機関とのアクセスがさらに容易になり、来街者が増えると考える。停留所に屋根をかけ、ベンチを設置することで利用者の滞留する空間が作り出せると考える。
 山形市を路面電車が走ることで、環境面や多くの市民・来街者が関わりを持ち、商店街やまちの活性化に繋がっていくと想定される。