建築・環境デザイン学科Department of Architecture and Environmental Design

市街地における既存自転車コースの再整備ー福島県いわき市を例としてー
新田和紀
福島県出身
馬場正尊ゼミ

目次 研究の背景 / 研究の目的および仮説 / 先行研究および研究方法 / 調査(1)自転車通行空間を指す用語の定義づけ
(2)整備事例の調査および分類(3)「交通機能」を活用するための取り組みの事例の調査
(4)「空間機能」を活用するための現地踏査および利用実態把握のインタビュー
実践 / 提案 / 結論

 気候変動問題や車社会に伴うコミュニティー希薄化や地域経済問題対策として、都市交通において自転車活用が叫ばれている。福島県いわき市にある本研究の対象自転車道は、様々な都市機能へのアクセスに優れている。また、約2㎞に渡る旧貨物線区間は完全に車道と分離され、約3㎞に渡る河川敷区間も、自転車が通るルートは橋の下であるため車との交差点や信号がほとんどなく、活用のポテンシャルは高い。
 どのような活用の仕方が望ましいのだろうか。本研究では、まず、交通機能の視点から、多様な自転車が通る事ができる自転車道の事例を文献調査した。そののち、現地で利用者の利用状況や環境を踏査した。さらに、現地で自転車活用を巡る動きの中心となっているコミュニティーの力も借りながら実際にフィールドワークを行い、総合的な視点から再整備の方法を考察した。
 文献調査では、世界の自転車活用の戦略を3つに分類し、いわき市の研究対象自転車道と比較し知見を得た。現地踏査では、朝は平日・休日ともにランニング・ウォーキング・サイクリングや犬の散歩の利用者が多く、昼は、平日、平市街地付近において外で昼食をとったり昼休憩をしたりする利用者が多かった。ヤン=ゲール氏は人間の屋外での活動を、必要に応じて行う「必要活動」、屋外の天候や環境が優れている際任意で行う「任意活動」、複数の人間がいることを前提とした任意での活動である「社会活動」の3つに分類した。いわきの研究対象自転車道では「社会活動」が見られなかった。また、現地で屋台やキッチンカーがある公園を日常にしようと活動する団体、2019年にいわき市に移転してきた日本パラサイクリング連盟の協力の元、社会実験を企画したが新型ウイルスの流行などから実行できなかった。しかし、いわき市自転車文化交流発信拠点「NORERU?」のプレ活動として、今まで自転車と深く関わりのなかったいわきに由縁がある若者4人が、自分の興味と自転車を結び付けて自転車の魅力を発信する「NORENAIズ」とともにフィールドワークを行った(図1)。
 いわきの研究対象自転車道では、河川敷区間で3000㎜以上の幅員への拡幅や街灯の設置、タイル舗装からアスファルト舗装への変更、社会活動が行われるよう人の流れを増やす対策、多様な自転車が走ることができるよう、自転車改造が手軽にできるようなコミュニティー、情報交流ができる場づくりが必要と考察した(図2)。

図1 NORENAIズ

図2 再整備後のイメージ図