映像学科Department of Film and Media

[優秀賞]
坂内映介|鳴いた西瓜
福島県出身
林海象・中村高寛ゼミ
映画

「好きな人できたの」恋人チヒロの突然の別れ話に驚いたフリーターのイチ。あっさり終わってしまった恋愛に区切りをつけれないまま、書けないブログと共にただ独りの時間を過ごすイチであった。そんなある日、映画館で同じ映画を見ていたハルと知り合った。イチはハルと過ごしていくと独りを忘れていられた。そんな矢先、イチとハルはブログ仲間のクマガイから誘われた泊まりのコテージでまさかの再会が待っていた・・・


中村高寛 准教授 評
映画を撮りたい! が、何を撮ればいいのか分からない……。多くの映画青年が苦悩してきた通過儀礼を、坂内映介も味わってきた。いま思い返せば、雌伏の時であった3年時、私はこのまま挫折してしまうのではないかと危惧していた。でも夢を諦めるのは恥ずかしいことじゃないし、映画だけが全てじゃない。大学4年間でそれに気づけただけでもめっけものだと、冷たいたいようだが傍観していた……。
しかし4年になって、坂内は変わった。なりたい自分ではなく、自分にしかできないことと向き合ったのだ。それは周囲からすると小さな変化に過ぎないが、坂内にとってはブレイクスルーした瞬間だった。『鳴いた西瓜』はまだ拙いながらも、本年度のインディペンデント映画の一本に数えられるだろう。いまの若者たちの些細な日常を見つめ、登場人物たちの感情を丁寧に紡いでいく演出は瞠目に値する。通過儀礼は無事に切り抜けた。でも坂内監督、分かっているよね? 勝負はこれからだ。