映像学科Department of Film and Media

[最優秀賞]
山田健児郎|Deus ex machina
秋田県出身
鹿野護ゼミ
アニメーション

人類の持ち得る神性とは何に依るものなのか。ロボットには存在するのか。「人とロボットの関係」を「神と人との関係」に重ね合わせて探究した映像作品。


鹿野護 教授 評
人間は限りある命から逃れようと努力を重ねてきた。医療や科学の進歩は、人々の寿命を延ばし、老いを遅らせつつある。だが、完全なる不老不死は永遠に不可能であろう。それが可能なのは、想像 上の神々だけなのだ。しかし、ロボットはどうだろう。しかも、それが感情を持っていたとしたら? 山田健児郎が「Deus ex machina」という作品で描いたのは、そうした心を持つロボット達である。人間がいなくなった世界で「生き」続けるロボット達。その光景は、退廃的でありながら美しい。山田はロボットが究極的な進化を遂げれば、人間が理想としていた神の身体を持つのではないか、ではそれは神か? 神とは何か? ということを表現しようとしている。 この作品の特徴は、こうした普遍的なテーマだけではない。すべてのシーンがリアルタイムに、見る瞬間に生成されているのである。プリレンダー映像と何が違う?と疑問を持つ人も多い。しかし、その二つは決定的に異なっている。言うなればリアルタイム映像は、演劇を舞台を見ているのに近い。同じようでありながら、見るたびに異なる映像は「生き」ているのである。 一年前、山田は集大成を目指して作品を作る。と語っていた。黙々と一年間作り続けた作品は、最後に最優秀賞という形で結実したと考えて良いだろう。彼がこれから、どんな作品を生み出していくのか、とても楽しみである。