美術科 洋画コースDepartment of Fine Arts Oil Painting

[優秀賞]
今泉瑞稀|脳の表面にて感知。いかん、目が合ってしまった。
宮城県出身 
細川貴司ゼミ
3500mm×4700mm 木材、鉛筆、木炭、アクリル絵の具

日々様々なことを考えている。死ぬとはなにか、生きるとはなにか、女として生まれたこと、小さい頃のこと、家族のこと、これからのこと。様々なことを流動的に考え続けている。それについて答えがあるのか、自分としての答えが出せるのかどうかはわからない。作品は切り、彫り、描きながら考えを進め、考えとともに形は変化し、どんどん膨れていった。いつかこの世を去る時、自分の生き様に納得できるように。


細川 貴司 准教授 評
以前、彼女が授業に使っているノートを見せてもらったことがある。鉛筆で隙間なくビッシリと埋め尽くされ絡み合った文字と絵は、落書きなのか、授業内容のメモなのか見当がつかなかった。そこには人間の生と死、営み、喜怒哀楽などが混じり合った精神的な脳内思考を覗いているような気がした。文字と共に細長く描かれるくねった女性の身体は造形美さえ感じさせ、とても魅力的に映ったのを覚えている。
文字を綴る、焼きを入れる、切り刻む。一つの儀式のように行われ、それが表現としての形を成しているようだ。作品は刺々しい様相を呈しながらもどこかユーモラスである。変幻自在の形はとても瀟洒に見え、レリーフ状の積層する構造が俯瞰した空間を漂わせて視線を往き来させる。彼女の思考はブレない筋の通ったある種の信念を持っている。その反面、全くまとめる気が無く、どこに行き着くのかもわからないがそれが面白い。