美術科 洋画コースDepartment of Fine Arts Oil Painting

[最優秀賞]
谷村メイチンロマーナ|エキゾチックファイアードラゴン「マスダ三兄弟」、マジカルユニコーン「ハイエル姉妹」
東京都出身 
青山ひろゆきゼミ
各約2300mm×約2000mm×約320mm 発泡ウレタン、針金、麻紐、アクリル

小さい頃なんとなく欲しくてチョコエッグを買ってもらった記憶がある。あの頃は、開ける事だけが楽しくて中のおもちゃに興味を持っていませんでした。しかし、大人になって中野ブロードウェイで見たソフビのフィギュアがかっこ良かった。その経験は今回の制作へ影響を与え、ソフビやカートゥーンキャラクターのイメージを用いた作品へ展開した。


青山 ひろゆき 准教授 評
彼女の制作場所は無邪気だ。コンクリートで造形した複数体の立像は、とにかく重く「ユニコーンヒューマン」と名付けられたカラフルなフィギュアやスプレー絵画が不思議な愛嬌を放つ。そこは到底絵画を描く環境ではなく様々なアイテムが視界に飛び込み、幼少期のワクワク感を喚起するアミューズメントスタジオのようであった。
洋画コースで学びながらも絵画の枠を超え、多様な表現に挑んできた4年間。その集大成としての本作品は、大量の発砲ウレタンをベースにエアブラシで彩色しソフトビニールフィギュアのようなアート作品を目指した。通称ソフビは、アニメやゲームのキャラクターをグッズ化して個人がコレクションするアイテムだ。映像メディアが発達してもなお人間は、実在生を求めてしまう現実を示す作品といえる。過去にアメリカンポップアートの代表的な作家ロイ・リキテンスタインがミッキーマウスの漫画に熱中する子供の姿から、漫画的な絵画を描いたことを想起する。アートの崇高さよりも大衆性を目指し、技術よりも表現の面白さを求め、躊躇(ためら)うことなく実行する姿は、新しい美術を標榜する力強さがある。
今後は、大学院進学を望んでおりアーティストとしての活躍と共に、私たちの度肝をぬく作品制作を期待する。