建築・環境デザイン学科Department of Architecture and Environmental Design

米沢市中心市街地緑地化の計画 ー平和通り商店街を核とした緑地化の提案ー
髙橋樹生
山形県出身
山畑信博ゼミ

 全国的に商店街が衰退している中、米沢市にある平和通り商店街も空き店舗が増えつつあり衰退の一途を辿っている。また、開発による郊外への人口流出による市内の空洞化が進み、周囲を山や豊かな自然に囲まれつつも、まちの中心は緑が少なく殺風景な印象を受ける景観になっている点も問題となっている。現在米沢市では花と樹木に覆われたまちづくり基本計画に基づく市の、特に中心市街地の緑化を推進するための取り組みが為されているが、市民への周知があまりされておらず、市民の関心があまり高くないというのが現状である。本研究の目的は、そうした問題を始めとした米沢市の抱える課題を、地区毎に考察することで、市民にとっての憩いの場となる空間を提案しつつ、米沢市が課題としている中心市街地のさらなる緑化を推進していくことにある。対象となる中心市街地は米沢市中心市街地活性化基本計画にて定義された地域(図1)とする。この地域は、昭和40年半ばから大沼デパート米沢店をはじめジャスコや地元資本のファミリーデパートが相次いで平和通りに開店したこと等から、そこを中心に商店街として、大きな賑わいを見せてきた。しかし、昭和60年代に入り、車社会の浸透に伴いロードサイド型の郊外店舗が相次いで市の北部地域に進出してきたことや中心部の大型小売店舗の撤退により、中心商業機能が次第に弱体化してきた。
 本研究では、中部地区を中心に、空き地の暫定活用法としての緑地化、ポケットパーク化を提案する。米沢市全体での人口が年々減少している以上、今後も空き地や空き家は増加していくものと考えられる。そうした空き地を利用し、避難地として整備しておくことで、街の回遊性を高めたり防災機能を強化したりすることが可能となる。一方、中心市街地内の南部地区では住宅地の再整備が積極的に行われている。本提案ではコンテナを用いた、市民の憩いの場となるような小規模な施設を伴う整備(図2)と、より簡易的な緑地化の整備(図3)を行うことで、再開発の流れと阻害しあわないよう、工期が早く済み、コストも低く抑えつつも、市民の方が利用したいと思えるような機能を有した空間の整備が行えると考えられる。

図1. 中心市街地に指定されている地域

図2. コンテナを活用した整備のイメージ

図3. より簡易的な緑地化のイメージ