建築・環境デザイン学科Department of Architecture and Environmental Design

音楽フェスティバルによる都市公園の再生 -最上川ふるさと総合公園を対象として-
布施七愛
山形県出身
山畑信博ゼミ

 野外における音楽フェスティバルは様々な規模で全国のあらゆる場所で行われており、音楽を主軸にしたアウトドアレジャーとして楽しまれている。また、音楽を取り巻く非日常空間は、その土地の立地環境や特徴を生かした空間構成や独自のフェスを作り上げている要素が多く存在している。研究では、地元寒河江市での音楽フェスティバルの開催をテーマに、最上川ふるさと総合公園を対象に空間活用案を提案する。
 対象地の最上川ふるさと総合公園は、山形県寒河江市の南に位置する約28haの県営の都市公園である。寒河江SAと一体となったハイウェイオアシスとして整備され、東北最大級のスケートパークやドッグランなどの施設も充実している。最上川の景観、蔵王・月山の眺望、温泉、サクランボ等の果樹園が広がっているなど、恵まれた環境にあることから市民活動の場、文化交流の拠点として様々なイベントが行われている。交通アクセスの良さや複合施設が隣接していることから音楽フェスティバルの開催においても適した環境であると考える。
 現地調査の結果から、公園の特徴を生かした空間レイアウトおよび会場動線を行う(図1)。また公園の利用状況に偏りが見られ、特に利用者が少ないと感じた場所を再整備することを検討する。音楽フェスティバルと日常での使われ方の双方の観点から野外ステージの常設を提案。音楽フェスティバルでのメインステージとしての活用や(図2)、市民の活動・交流拠点として、あらゆる活動を可能とし、豊かなコミュニティを誘発させる空間を生み出す。また、備蓄倉庫を設けることで、非常用テントや災害物資を備え、地震などの災害発生時には周辺住民の広域避難地としての機能と全国からの救援物資等を受け入れ、供給を行う総合的な物流の機能を備えた防災拠点としての活用を図る(図3)。
 本研究では、最上川ふるさと総合公園の利用状況や公園の特徴を明らかにし、音楽フェスティバルにおける空間活用を模索し、公園の環境や特徴を踏まえながら活用案を図ることができたと感じる。また、公園の一角を再整備することを提案したが、整備後には利用者の様々な活動やコミュニティを誘発する場となるだろうと結論づける。その一つとして今後、最上川ふるさと総合公園で音楽フェスティバルが開催される日が来ることを切に願う。

図1. 会場ダイアグラム

図2. 音楽フェスでの野外ステージの活用

図3. 災害時での防災拠点としての活用