[優秀賞]
安部美希|歩行者優先の都市空間の形成 〜大手門通りすずらん商店街の街路デザイン〜
宮城県出身
竹内昌義ゼミ
これまで自動車の大衆化と普及により、自動車優先に都市が形成されてきた。現在は、歩行者優先の空間へと都市を見直す転換期にある。さらに、新型コロナウイルスの発生により屋外での活動の需要が急激に増加した。山形駅前のすずらん商店街を対象に、都市空間である街路上で考えられる人々のアクティビティを含め、街路の空間の設計デザインを行った。
竹内 昌義 教授 評
現在、世界各地で自動車優先ではなく、人間が人間らしく歩ける(ウォーカブルな)まちづくりが進められている。国土交通省もその流れを支援し、各地で実証実験が始まっている。これまでの自動車優先の社会では、まちに駐車場がたくさん作られてきたが、それでも客足は戻らず、地域の中心市街地は賑わいを失っている。人は便利に来られるからまちに来るのではなく、歩きながら話したり、広場で佇んだりすることに楽しみを求めて集まってくる。まさに逆転の発想だが、山形でも同じことが起こるといえるだろう。安部さんは、山形市すずらん通りの車線を一つ減らし、歩道を広げることで空間を生み、さまざまなシーンを作り出した。すずらん通りは、都市の不燃化を目指して建てられた防火帯建築としても有名である。その歴史を考えながら3ヶ所の建物を拠点とし、そこに佇んで楽しくなる歩行空間をデザインした。