DEPARTMENT OF INFORMATIQUE: FUTURE DESIGN | INFORMATIQUE PLANNING「情報計画コース」

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情報計画コース

学生×教授対談 太田早香(4年)×山下英一 准教授

山下
情報計画コースは芸工大設立ともに立ち上がり、技術の問題というよりは、人の幸せのためにまず何を考えたらいいのか、一体何をしたらよいのかということを根本的に考えることが必要であり、それがデザインの問題だと考えてきました。デザイン=手段ということを超えて、そういうことを考える「場」が必要であるということ。太田さんも情報計画コースの4年生として、まもなく卒業制作展を迎えています。情報計画の研究室としては、各自にこれをテーマに卒業制作をしなさいということは課しません。何を卒業制作にするかは自分で考えて、自分で自分を卒業させるようにデザインの問題に取り組んでほしいと思います。太田さんたち4年生の、卒業生制作に対する考え方,コンセプトはどのようなものですか?
太田
情報計画は、大学の中でも何をやっているの?と、他学科や外の人から見てわからないことの多いところなので、一番には、自分たちの学んできたものをわかって欲しいです。他の4年生の皆も、伝えるというより「伝えたい」という気持ちに重点を置いている感じがします。伝える側にも人と人のつながりがありますが、見に来てくれる人にも、それを通じてつながって欲しいと思います。
山下
情報計画は、商品やお店の企画もあれば、地域デザイン的な企画もあればというように、卒業制作の内容は多岐にわたっていますが、それらを現代・未来のデザインの多様な広がりとして見てほしいというのがあります。大切なのは、自分のデザインモチーフを立てること。デザインは意志や目的の問題なんだということです。ところで、太田さん自身はどういった卒業制作を考えましたか?
太田
私は「カフェ」をやります。キッカケは、カフェですごす時間が好きで、将来やりたいことの一つとして、自然に人が集まってくるようなカフェをやりたいと思ったことです。今のカフェはシステム的な印象のカフェが多く、人と接するということが少なくなって、ただ休憩する場になっている感じがして。それがすごくもったいなく感じたんです。人に会いたいからという理由で集まれる場を作りたいなと思いました。
山下
システム化で便利というのではなく、人が安心して集まり居られるような、そういった場をつくりたいということですね。
太田
ぼんやりとでもいいから「あ、なんかいいな」という気持ちが、来てくれる人に芽生えてくれるようにしたくて。意外とそういった場所ってありそうで。
山下
なかなかないですね。
太田
そういった場所を私は一番求めるものでもあるし、自分で作りたいものでもあるんです。
山下
ただ、「そういった場」っていうのをつくることはむずかしい。システム化の方がサービスを受けることができるし。太田さんの求める「場」というのは、サービスを受けるために来るのではなく、人にあいたいから来るということをデザインの問題にして考えたいということですね。
太田
展示では実際に雰囲気を再現できたらなぁと思っています。
山下
人の幸せのために、何がどうあったら本当によいのか、そのことを考えるのがデザインだとする情報計画の卒業制作として表現されることを期待しています。
――
4年間を振り返って、どうだったでしょうか?
太田
きっとこの学科に来てなかったら、こんな人と逢える場所を提供しようなんて絶対考えなかったと思います。私自身、入学当初は非常に人見知りが激しく、仲間や自分の知ってる人としか交流をしようとしなかったんです。この学科に入って最初は、どんなことを学ぶのか自分でも漠然としかわかりませんでした。デザインと聞くと映像やグラフィックというイメージがあり、「情報をデザインする」ということがわからなかった。でもグループワークを中心に4年間やっていくうちに、デザインはそんな特別なことじゃなくて、身近にあるものなんだってわかるようになってきました。普段の人との触れ合いを通して生まれることや感じることもデザインなのだとわかって、人と会うのがすごく楽しくなり、今度はその体験をデザインする側になってみたいと思うようになりました。きっと、この変化はこの学科に来たからだと思うんですけど、それが自分でもすごいなって思います。
山下
それはとても嬉しいですね。
太田
デザインってなんだろうなと思うところはまだありますが、ものの見方が広がったというか、いろんな角度から一つのことを見られるようになりました。
山下
それは良かったです。
太田
また、グループワークをやっていると、普段何も喋らないような人がボソッと核心ついた事を言って、「おお!すごいっ!!」と思ったり。「この人ってこういった人なんだ」とわかるようになりました。そんな、毎日が「発見、発見!」みたいな感じ。グループワークを今までやってきて、卒展では初めての個人製作になるわけで、そこでも、「へ〜この人はこういったものを作るんだ」という、新鮮なものがありました。
山下
グループワークというのは、皆の考えを一つにすることだと単純に思われがちですが、実は「お互いがお互いを発見すること」がとても大切なことです。
――
情報計画全体の卒業制作の展示はどのようなものになりそうですか?
太田
展示場所が本館の2階で、展示全体を見てもらうのが難しいという課題がありますが、全体の情報計画の展示を見てもらえるようにしたいです。あと今年、人数が少なく部屋が余ってしまうので、空いた部屋を使い個人作品とは別に情報計画を理解してもらえる展示を行いたいと思っています。
山下
情報計画の卒業制作は、何よりコンセプト重視であり、そして表現にあたっては自分がすべて統括者であるというような意識で皆が取り組んでいます。
太田
今回の卒業制作で大変だったことはスケジュールを立てる事でした。今までは自分が時間にルーズだったとしても、時間の管理が得意な人がいれば「〜日が納期だから、〜日まで間に合わせましょう」と、苦手なところを補い合って活動していて。でも1人となると、そんなところも全部見て回らなきゃいけないのがすごく大変ですね。
山下
企画を考える自分、コンセプトを立てる自分、スケジュールを立てる自分、ものをつくる自分、いろいろな自分を立てなくてはいけないからね。
太田
でも意外とやってみるとできたりして(笑)苦手だと思ってたのに、やる気になればできるものなのかもしれません。
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