歴史遺産学科

歴史遺産学科

歴史学/考古学/民俗学・人類学
歴史遺産マネジメント

学科のお知らせ

この分野の未来を語る

フィールドで本物に出会い、
探求する人類と地域の未来

芸術系歴史分野の未来像は、記録としての「歴史」からグラフィカルな「歴誌」への飛躍です。これからの時代は歴史文化、政治経済、法や倫理、思想、哲学にいたるまでAIや量子コンピューターのビッグデータの一部として集積されていきます。そんな今、最も求められているのはビジュアル・アウトプット。歴史を国や文化圏、言語圏から解放し、世界歴史へと地球規模で語っていく、壮大な時空間の物語絵巻として織り直し新しい歴史と出合う。それはもうはじまっています。若者たちは社会・文化システムの相続者です。目に見えるモノ的な世界遺産から心や精神といった不可視な価値が具体的な形となって現れた文化遺産に至るまで、すべての選択権は「若者たち=遺産相続者」にあるのです。

  • この分野の未来を語る
    北野博司 教授/研究者。専門は考古学。近年では近世城郭の石垣構築技術や修理技術に関する研究も行う。特別史跡熊本城跡、特別史跡五稜郭跡など、全国の史跡保存活用委員会、文化財保護審議会委員等を歴任。
  • この分野の未来を語る
    田口洋美 教授/民族文化映像研究所、日本観光文化研究所主任研究員を経て、狩猟文化研究所を設立。東京大学博士課程修了。著書に「クマ問題を考える 野生動物生息域拡大期のリテラシー」「越後三面山人記 マタギの自然観に習う」など。

3つのPOINT

POINT1

1年次から始まる専門演習

本学では1年次から専門演習がスタート。少人数体制で、教員が学生一人ひとりにしっかり寄り添いながら、地域の成り立ちを理解するのに必要な自然や社会の読み解き方を、実際に地域に出て学んでいきます。

POINT2

質・量ともに豊かなフィールドワーク

学科専門科目の約50%が学外での授業。地域に入り込んで調査を行うなど、住民とともに町の歴史を掘り起こし未来の姿を模索する実践型スタイルが特長で、その結果、多くの卒業生が地域で活躍しています。

POINT3

学科連携で身に付く表現力

他学科とのプロジェクトを通じて養われる、調査内容をより視覚的に伝えるスキルやさまざまな考え方への理解、コミュニケーション能力は社会のあらゆる場面で自らの可能性を広げてくれる力となります。

3つのPOINT

4年間の授業とカリキュラム

1年次地域を理解する

地域固有の文化や伝統を理解する上で欠かせないのは、フィールドを歩くこと。現地を訪れ、自然観察や史資料の記録、住民へのヒアリングといった調査方法を体験。フィールドワークの基礎を身に付けていきます。

初めてのフィールドトリップ

歴史遺産調査演習A

東北を中心とした博物館などの施設、遺跡、まち並み、自然・文化的景観等を見て歩きながら、事前調査から実地調査を経て、成果をまとめるプロセスを体験。今後の研究の流れをイメージする機会となります。

カリキュラム
関わり合いで自己を磨く

フィールドワーク演習1

上山市楢下地区などに赴き、実際のフィールド調査の計画立案から総括まで、主体性をもって調査研究の方法を習得。この調査はチームを組んでの作業となるため、協力し合って成果を導いていく過程を体験します。

カリキュラム
カリキュラム カリキュラム

2年次調査研究スキルを習得

自分の興味のある分野を重点的に学べる2年生。より専門的な研究方法の基礎を体験的に学ぶと同時に、そこで得た方法や概念を論理的に説明できる力を育成。地域に潜む「問い」の発見へとつなげます。

読み取る目と技術

考古学応用演習1

モノから過去を解釈する考古学では、遺物に残された痕跡を読み取る力が必要です。この授業では石器や土器を実際に作り、使われた痕跡を知るにはどのような観察をすれば良いのかを体験。観察力と解釈する力を養います。

カリキュラム
歴史像を描き出す

歴史学応用演習1

くずし字の解読と読み下しと、現代語訳の能力を身に付けます。史料を解釈する力のほか、モノゴトを客観的に見つめ、論理的に説明する力を養うことにもつながります。

  • カリキュラム
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異文化のまなざしを通して

民俗・人類学応用演習2

「菊と刀」を題材に、日本文化と社会を読み解く授業。この著書の評価点と批判すべき点を取り上げ、自文化を客観的に見つめます。

  • カリキュラム
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カリキュラム カリキュラム

3年次主体的に調査研究する

地域の価値を見出し、保存活用の担い手となるために必要な地域への理解と共感、主体的なフィールド調査に加え、関連文献の読解にも力を入れ、自ら発見したテーマについて探究していく手段のひとつとします。

見つけ、読み解く

歴史遺産文献購読1

論文の構造を図解して、その内容について検証、課題を指摘する力を養います。研究テーマは自分で見つけ、その探求に向かう方法論と知識を獲得します。

  • カリキュラム
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東北以外のフィールドトリップ

歴史遺産調査演習B

ゼミごとに分かれ、国内外の遺跡調査や史跡の保存活用、研究所・博物館などの施設を視察。歴史遺産に対する幅広い知識と現代的役割などを学びます。

  • カリキュラム
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自分の研究テーマを調査

フィールドワーク演習3

個別に研究テーマを設定し、現地を訪れて対象を観察。資料の記録や住民の方にヒアリングをするなどして、客観的なデータを採取。調査内容をまとめ、発表することを通し、実行力とコミュニケーション能力を鍛えます。

カリキュラム
カリキュラム カリキュラム

4年次研究を深め理解する

専門分野を軸に多角的な視点で問題を見つめ、実践的にフィールド研究に取り組みます。そこで培われる、地域を総合的に理解する力。集大成となる卒業論文を通して、自らの研究テーマの結論を導き出します。

自身の研究を深める

〈 歴史学 〉
出羽国村山郡観音寺村における山野利用の変遷
小関美紗

本研究は、出羽国村山郡観音寺村(現山形県東根市観音寺)における山野利用の変遷を明らかにするものである。出羽国村山郡観音寺村を対象地域とした研究は、森谷圓人氏などによる郡中備金制度や郡中議定制度に関するものや、青木美智男氏や渡辺尚志氏などによる慶応2(1866)年の観音寺村方騒動に関するものが挙げられる。各研究では観音寺村の概況において、夫食米が村全体として不足しているため、煙草などの特産物や薪の伐り出し・販売などで得た代金で購入しており、夫食米を購入して生活するという「買い食い」の性質を有する村であると指摘している。そして、夫食不足、すなわち食糧不足や困窮問題を原因とする諸問題やその対応を提示していた。しかし、「買い食い」をするための貨幣獲得手段であった山野利用については明らかにされていない。そこで、観音寺村の主な貨幣獲得手段であった山野利用について明らかにし、新たな村の様相を描き出すことで、夫食不足への対応の新たな側面を見出したい。※以上、一部抜粋

  • 〈 考古学・歴史遺産マネジメント 〉
    上山市楢下宿蔵座敷の
    時代的変遷
    守屋日向

    私が研究対象地域としたのは上山市楢下である(図1)。楢下は江戸時代、奥羽諸藩が参勤交代に使用した羽州街道の宿場町として栄えた場所であった。(中略)本研究では楢下に現存する土蔵35 棟について聞き書き調査をはじめとした現状記録をとり、戦前から現在に至るまでの利用形態と建築意匠の視点から蔵座敷の時代的変遷を読み解くことを目的とする。また、城下町における蔵座敷との違いを比較し、農村部における蔵座敷の利用形態、建築意匠の視点から見た特徴を明らかにすることも目的とする。※以上、一部抜粋

  • カリキュラム
    左:各土蔵の分布図
    上:「はめ込み式」の土蔵風窓
  • 〈 歴史学 〉
    地方紙に映る1930年代
    ─『山形新聞』の味の素広告を事例に─
    槇麗

    本研究は、1930年代の『山形新聞』に掲載された「味の素」の新聞広告の図案とキャッチコピーを用いて、新聞広告に反映された世相を、地方紙の立場から明らかにするものである。(中略)しかし、1937年以降はプロパガンダ一色になり、自由な広告活動は抑制され、太平洋戦争が終戦を迎えるまで、新聞広告は「冬の時代」を迎えることになる。 (中略)ひとつの広告に着目した「地方紙を用いた広告研究」として、日本の広告研究史のなかに位置づけることも試みたい。 ※以上、一部抜粋

  • カリキュラム
    左:主婦がモチーフの広告「山形新聞」山形県立図書館蔵)/右:戦時色の強い広告「山形新聞」(山形県立図書館蔵)
  • 〈 民俗・人類学 〉
    何故「ムカサリ絵馬」は怖い話になったのか─山形県村山地方の供養習俗の変遷に関する一考察
    山本亜季

    「ムカサリ絵馬」とは、死者の冥福を祈り、死者と架空の伴侶の結婚式、または婚礼衣装をまとった姿を絵馬に描いて寺社などに奉納する山形県村山地方に分布する供養習俗である(図1)。(中略)「生きた人の姿や名前を絵馬に描くと死者が迎えに来る、あの世に連れていかれてしまう」という禁忌を誇張し、生者を呪い殺す呪具のように描かれている。しかし、その後実際に絵馬を見て、遺族が死者を思って奉納する絵馬がそんな呪具のような力を持つのだろうか、と疑問に感じ、本論文を書くに至った。(中略)現代の「ムカサリ絵馬」は「死者の結婚」「供養」「禁忌」の三つを軸に語られている。つまり、当習俗の研究外における「一般的」な認識としては、この三つの要素ないし性質が根幹であると言える。※以上、一部抜粋

  • カリキュラム
    久昌寺所蔵の
    「ムカサリ絵馬」
カリキュラム カリキュラム

卒業時取得可能資格:

小学校教諭一種免許状、中学教諭一種免許状(社会・地理史)、高校教諭一種免許(社会・地理史)、学芸員、社会教育士(養成課程)
※指定の科目を受講することで取得できます。

リアルな学び

考古・歴史山形県高畠町

分野をまたいで、
まちの歴史を調査

×他学科・コース

歴史遺産学科では山形県高畠町を舞台にさまざまな取り組みを行っています。一つは、同町で採掘される「高畠石」が町の中でどのように使われているか歩いて調査を行い、その歴史や用途などを冊子にまとめ伝える取り組み。二つめは、縄文時代に人が住んでいた痕跡の残る同町にある遺跡の発掘調査です。毎年掘り進め、その年代ごとの人々の暮らしを探ります。2018年の発掘調査では、他学科コースの教員や学生も参加。調査の体験を元に作った作品の展示会「ジョウモン・アート」を行うなどの交流を通して、視野を広げる機会があります。

右上)高畠町で取れる石を、暮らしの中でどのように活用しているかを調査してまとめたパンフレット/中)北野教授からレクチャーを受けながら、高畠石の採掘場所を見学/右下)発掘調査の成果展「ジョウモン・アート」では、他学科コースの教員・学生が調査への参加体験を元に制作した作品を展示した。/左上)暮らしの中に溶け込む高畠石。グループになって調査を進めた。/左下)2017年の日向洞窟発掘調査では、他学科の学生も調査に参加した。

リアルな学び

歴史遺産マネジメント山形県上山市楢下宿

調査成果を伝える術を習得

×文芸学科
×美術科日本画コース

楢下宿は、参勤交代や出羽三山の山岳信仰が根強かった時代に全国から集まる人々の経由地・宿場町として繁栄した地域です。1年生から、まちのいたるところにその形跡が残っている本地域に入り、歴史や暮らしなどを調査しました。途中、日本画コースの学生たちがまちのスケッチも実施。最終的に1年間の成果を冊子にまとめ、地域の方を招いて行った最終報告会では展示も行いました。その後、文芸学科とコラボレーションし、まちの魅力を伝える観点で再度冊子を共同制作。調査を通して分かったその地域の歴史的価値や魅力を伝える術を習得しました。

右)地元の方向けに調査の報告会を開催し学生たちは調査成果のプレゼンテーションを行った。/中)調査報告会の会場には、日本画を学ぶ学生たちが描いた楢下宿のスケッチも展示。/左)調査結果を観光資源として生かすという観点で、文芸学科と連携し、楢下宿の案内パンフレットを作成した。

リアルな学び

内定者の声

地域を歩き培った「知る術」。
それを糧に、地域の未来を考える。

東根市
小関 美紗/山形県立東桜学館高等学校 出身

「自分の生まれ育った地域に貢献したい」という思いから興味を持った歴史遺産の学び。地域の古文書の整理や聞き書きによる調査といったフィールドワークを通して、専門的な力や複数の視点で考える力、そしてコミュニケーション能力を養うことができました。歴史や文化の活用・継承は、市民の方々が活力や潤いある生活を送るための一つの方法になると考えています。地域の歴史や文化をきっかけに、自分の地域に誇りや愛着を持って生活できるような社会をつくっていきたいです。

内定者の声

フィールドワーク演習で得た、
自ら積極的に動くことの大切さ。

株式会社ヤマザワ
(スーパーマーケットを核とする小売業)
後藤 陸/山形県立谷地高等学校 出身

元々歴史が好きだったこと、そしてフィールドワークを取り入れた学びを展開していることからこの学科を選びました。実際にフィールドワーク演習を経験し実感した、自分から積極的に動いていけばいろんな成果が得られること。同時に、人とのつながりの大切さを学びました。『ヤマザワ』で働きたいと思ったのは、地元を大切にしている企業であり、自分の「地元に貢献したい」という気持ちとマッチしたから。これからも人とつながることの大切さを多くの人に伝えていきたいと思います。

内定者の声

主な進路実績

主な進路実績 主な進路実績 主な就職企業一覧

主な就職企業一覧

【学校、施設、団体等】文化庁/ 奥松島縄文村歴史資料館/清春白樺美術館/埼玉県埋蔵文化財調査団/花巻農業協同組合/ 明治大学考古学博物館/最上徳内記念館/山形県国民健康保険団体連合会/山形中央農業共済組合/山形県埋蔵文化財センター/さがえ西村山農業協同組合/北上市立博物館/日本こんにゃく協会/山形県/ NPO 法人西沼田遺跡サポネット/ 福島県文化振興財団/地底の森ミュージアム/社会福祉法人ありのまま舎/池波正太郎真田太平記館/学校法人河合塾/東根観光物産協会/宮城県公文書館/宗教法人輪王寺
【民間調査機関・民間文化財コンサルタント】国際文化財/ノガミ/毛野考古学研究所/パレオ・ラボ/トリアド工房/都市景観設計
【金融、保険等】荘内銀行/きらやか銀行/あいおいニッセイ同和損害保険
【映像制作】コラボレーション/アトリエ・NOA
【建築、都市設計、環境、インテリア等】アークビジョン/エスコ/ 野上建設興業
【公務員】 名取市/ 南陽市/宮城県警察/村山市/岩手県/長井市/新発田市/多賀城市/大江町/高畠町/小国町/棚倉町
【出版、印刷、新聞等】農山漁村文化協会
【その他(製造、サービス、小売他)】保志/アカオリゾート公国/いそのボデー/一の坊/ NHK 山形/共育舎/郡中丸木/ CSI /シベール/サンデー/セントラルリース/第一貨物/ 高見屋旅館/ 天童ホテル/中央アルプス観光/東京スタイル/東横イン/トヨタカローラ山形/日本クッカリー/日本生命保険/バーウェル/ハマツーリスト企画/ 東日本プランニング/ひなの宿千歳/ポンパドウル/ 松屋フーズ/メディカジャパン/モンベル/レオパレス21/山形駅西口ワシントンホテル/山形トヨペット/山形リコー/ヤマコー/ヤマザワ/ヤマト運輸/山寺風雅の国/ヨークベニマル/リンベル/ローソン/ 旅館古窯/ワールドストアパートナーズ/ 平田牧場/アクセス米沢/マイナビ/遠藤商事/ゲオホールディングス/ナウエル/日本郵政グループ/マルイ/山形酸素ほか

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