大学時代の学びを活かし、プロフェッショナルとして成長し続ける卒業生たち/卒業生 大川柚佳、石川渓人、本間詩織、戸田巽
インタビュー
#コミュニティデザイン#卒業生#地域デザイン#建築#文化財#歴史遺産今回の記事では、「文化財保存修復コース」「歴史遺産コース」「地域デザインコース」「建築・環境デザイン学科」卒業生へのインタビューを紹介します。現在の活動や、大切にされていること、大学時代の学びが活かされていることなどを伺いました。
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現 文化財保存修復コース卒業大川柚佳さん
――現在の活動について教えてください
大学卒業後は、イギリスのノーザンブリア大学院で2年間絵画修復を学びました。帰国後は東京文化財研究所にて3年半ほど、日本の修復技術を伝える国際研修に運営として関わりました。現在はTERRADA ART ASSIST株式会社で美術品修復の実務に携わっています。ここでは作品の運搬、チェック、管理までを一貫して行っていますので、輸送や保管部門と連携して業務に当たることも多いです。輸送部門にも、芸工大の先輩や後輩がいます。また、東京文化財研究所にも客員研究員として任用されています。

――お仕事ではどんなことを大切にされていますか?
美術品のコンディションチェックや修復の際には、「今この作業を行うことが作品にとって最善の選択か」ということを常に自問しながら、上司と密に話し合って進めています。
以前、ある作品をどこまでクリーニングすべきかを上司に相談した時、「次にこの作品が修復されるのは遠い未来かもしれない。だとしたら、今回の修復できちんと損傷の原因に対処しないといけない」という長期的な視点でのアドバイスをもらいました。今ある損傷を応急的に直すことも大切ですが、同時に、作品が将来的にどう受け継がれていくかも考慮に入れなければならないと学んだ出来事でした。
また、修復するにはそれを実現する技術力が不可欠です。 まだまだ駆け出しですが、質の高い仕事ができるよう、日々の訓練も重要だと考えています。

――大学時代の学びで、お仕事に活かされていることを教えてください
ゼミで扱った油彩画はもちろん、屏風や漆芸品など幅広い素材の修復も学べたことです。作品の取扱い方や見方についての知識は現職でも役に立っていますし、色々な作品を鑑賞するのが楽しくなりました。卒業論文では一つのテーマについて考えることの面白さにはまり、それが今の研究にも続いています。
――受験生にメッセージをお願いします
私は別の大学を中退し、芸工大に入りました。将来を進路を決めるタイミングや形は人それぞれだと思います。あまり気負いすぎずになんでも挑戦してみることで、いつかその経験が自分を導いてくれるのではないでしょうか。
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現 歴史遺産コース卒業石川渓人さん
――現在のお仕事について教えてください
北秋田市役所に入庁し、4年目になります。世界文化遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成資産の1つである伊勢堂岱遺跡の保存・活用に関わる仕事をしています。
遺跡の公開期間中(4月下旬〜10月末)は、公開準備や維持管理が日々の業務になります。遺跡の主体となる環状列石は露出展示しているため、定期的に除草作業等の環境整備や経過観察を行っています。遺跡が閉鎖となる冬季期間中(11月〜4月中旬)は、積雪から遺跡を守るため冬囲い作業も地元の方と一緒に行っています。また、遺跡や縄文への関心・理解を深めてもらえるよう、毎年9月に「北秋田市縄文まつり」を市民の皆様に協力いただきながら開催しています。

――お仕事で大切にされていることや、印象に残っていることを教えてください
先述のとおり遺跡を露出展示して公開しているため、遺跡の保存を第一に考えた上で環境整備や活用を行うように心掛けています。遺跡は世界文化遺産なので、文化庁や秋田県、他構成資産を所管する自治体の方々等への確認や連絡が大切です。また、地元の方々やボランティアガイドの皆さんに協力していただく機会も多いので、そういった方々とのコミュニケーションも綿密に行っています。
――大学時代の学びで、お仕事に活かされていることはありますか?
実際に発掘調査に参加したことで学んだ調査方法や記録方法、出土品の扱い方を、仕事現場でも活かしています。芸工大の学芸員課程では、考古資料の他に絵画や工芸品等の扱いについても学ぶことが出来たため、他部署から文化財対応を要請された際に学びが役立ちました。


――受験生にメッセージをお願いします
美術系と工学系が同じキャンパスで学べることが非常に大きなメリットだと感じます。仕事をしていると、思いがけないところで他学部・学科と関わった経験が役立つ場面が多々ありました。もし入学された際は、ぜひ所属学科以外の分野にも目を向けてほしいです。
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現 地域デザインコース卒業本間詩織さん
――現在のお仕事について教えてください
鶴岡市に入庁し、コミュニティ推進課に配属されて3年目になりました。主な担当業務はコミュニティセンターの施設管理や、生涯学習振興です。
コミュニティ推進課では、地域の活動拠点となるコミュニティセンターの施設管理、町内会などの住民自治組織の活動支援、地域が抱える課題などへのソフト面への支援を行っています。私はそのなかでもコミュニティセンターの施設管理や、生涯学習振興を主に担当しています。基本は市役所でのデスクワークになりますが、町内会長さんや、コミュニティセンターを運営しているコミュニティ組織の皆さんとの関わりが大きく、地域と密接に関わる部署だと感じています。

――普段の業務ではどんなことを大切にされていますか?
極力現地へ出向いて、直接お話を聞くことを意識しています。例えば、設備に不具合があったときや相談事があったときなどは、直接お話しすることで状況を正確に把握できますし、ついでの雑談のなかで地域のお話を聞く機会にもなります。お仕事で関わる方は各地域活動の中心を担っている方ばかりなので、地域活動の動向や考え方を知れる貴重な機会です。

――お仕事で印象に残っていることを教えてください
大学時代は「地域実習(スタジオ活動)」で鶴岡市湯田川地区で活動を行っていたのですが、実は今年度から湯田川地区の担当になりました。学生時代にお世話になった方との再会があったり、自分が仕事として地域にまた携われることが実感でき、嬉しかったです。地区では湯田川孟宗を次世代につなげるプロジェクトが本格的に始まった年でもあり、今後の動向を間近でみられるのがとても楽しみです。微力ではありますが、精一杯サポートに努めます。
――受験生へメッセージをお願いします。
授業ではチームで動き、学生同士や先生、地域の方々と力を合わせて取り組むことが多いです。これは他ではなかなか経験できない機会だと思います。地域や人と関わることの面白さを、ぜひ大学でたくさん感じてほしいです。
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建築・環境デザイン学科卒業戸田巽さん
――現在の活動について教えてください
設計事務所のKIRI ARCHITECTSで、設計から現場のチェックまでの設計業務を一通り担当しています。

設計の依頼があった物件に対して、モデルや模型で検討を行い、お施主さんにプレゼンをして決まったら、実施設計・申請を行います。実際の建物の素材集めなども業務として行ってます。これまでに、新宿御苑の香水ショップ・北海道厚別の集合住宅・高円寺のリノベーションも担当してきました。




――お仕事で印象に残っていることを教えてください
建築を建てるうえで予算の問題がよく出るのですが、減額調節の一つとして内壁の塗装を自主塗装とすることがあります。昨年竣工したリノベーションではスタッフ総出で100㎡ほど塗装を行いました。
事務所の理念として、「より良い建物を建てること」が一番にあるのですが、それを実現するための取り組みだったので、印象に残っています。
――受験生にメッセージをお願いします
大学時代の設計課題では、毎週ある教授とのエスキスをもとに何度も試行錯誤を繰返してましたが、設計事務所ではその作業が毎日行われるため大学時代の経験が役立っています。
好きな仕事をしているので、業務的に苦しい・難しい場面があっても続けられています。なので、「好きなこと」に関連することを探してみるのも良いと思います。
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芸工大の卒業生はさまざまな分野で活躍していますが、今回は特に【大学時代の学び】と【現在の仕事】が密接につながっている4名をご紹介しました。プロフェッショナルとして成長し続けているそれぞれの中には、大学時代に培った「考え方」や「向き合い方」が今でも息づいているのではないでしょうか。
(取材:入試課)
東北芸術工科大学 広報担当
TEL:023-627-2246(内線 2246)
E-mail:public@aga.tuad.ac.jp
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