本郷紗弥子|大学の地域交流活動の実践過程と課題の検討 -東北芸術工科大学「みつけたむぎの」を事例として-
宮城県出身
松田俊介ゼミ
大学生が住民と関わりながら、地域課題の解決や文化・生活の維持に参画する取り組みが多様な形で行われている。しかし、こうした地域交流活動は構成員の入れ替わりや担当教員の変更、地域状況などに影響されやすく安定した活動とは言いがたい。本研究では東北芸術工科大学の地域交流サークル「みつけたむぎの」による山形県天童市田麦野地区での活動を事例とし、大学生主体の地域交流活動がいかに形成・維持されるのかを明らかにすることを目的とする。
「みつけたむぎの」は2007年に設立され、2025年現在23名が所属する。設立当時は教員が主体となるチュートリアルという活動だったが、2015年にサークルに転換した。
調査として「みつけたむぎの」顧問であるI氏と集落支援員のD氏にインタビューを行った。なお、2人とも過去に「みつけたむぎの」メンバーである。I氏の語りからは、チュートリアル期における教員の関与のあり方やサークルとの運営上の違いが示唆された。D氏の語りからは、チュートリアルからサークルへの転換時期や、代表的な活動であるキャンドルナイトの目的の変化が確認された。さらに、みつけたむぎの活動報告書『結』を用いて、チュートリアル期を中心とする活動内容や主要行事の推移を整理、2025年度キャンドルナイトへの参与観察を行なった。(図1) 上記の調査から「活動形式の違いによる利点と欠点」と「『活動目的の再編』と『学生と地域の関係性の揺らぎ』」が示された。チュートリアル型では軸が通った継続的な交流を保つことができるが、教員の目があることで自由度や自主性が担保されにくい。サークル型では学生に地域とのやりとりや運営を任せることで、闊達な活動を展開できる。ただし、継続性に問題が残る。調査事例において、活動の長期化に応じてキャンドルナイトの目的の再編が起こっていた。また、それに付随して学生と地域の関係が曖昧になっている部分が散見された。教員の退職、学生の代替わり、チュートリアルからサークルへの変化、地域高齢化による関係性の希薄化という複合的要因によるものだと考えられる。これを防止するためには、活動目的の明確化と定期的な再確認、活動記録の引き継ぎが必要である。

1. 2025年度キャンドルナイトの様子