佐藤壮輔|南陽市における養蚕製糸業の歴史 ーその遺構の保存と活用方策についてー
山形県出身
志村直愛ゼミ
私の地元山形県南陽市(図1)では、かつて養蚕製糸業が盛んに行われており、最盛期には生糸の生産量が山形県内の8割を占めていた。しかし、南陽市はこの歴史をあまり紹介しておらず、さらに南陽市は養蚕製糸業の歴史を後世に伝え残していくために、「まゆの里推進事業」と呼ばれる事業を行い、様々な活動を行っていたのだが、途中で事業停止となっていたことが判明した。
まゆの里推進事業は、南陽市漆山地区にある団体と南陽市から構成されたまゆの里推進会議が、一般社団法人山形県蚕糸業界の協力を得て、2012年から①蚕の飼育、②染め織り体験、③養蚕・製糸関連資料のデータベース化の3事業を軸に活動を行っていた。しかし2016年に山形蚕糸業界からの支援、2019年に市からの補助金が打ち切られ、完全に事業停止になった。
現在、南陽市には南陽市交流プラザ蔵楽(図2)と夕鶴の里資料館、2つの建物が現存している。蔵楽は元々、宮内繭市場で売るための繭を保管していた蔵であり、2号館は和室や会議室、事務室、展示室として、3号館は多目的ホール(主に音楽会や展示会)として使用されている。夕鶴の里資料館は元々、製糸工場で使用されていた3階建ての繭蔵を改装した市の文化施設であり、施設内にはかつて生業として営まれていた青苧産業や養蚕業、製糸業、織物、養蚕信仰などの民俗資料が展示されている。
現在も様々な活動を行っている山形県鶴岡市、長野県岡谷市、群馬県富岡市と南陽市を比較し、どのような建物が残されていて、どんな風に活用しているのか、また、南陽市でも実施できるような活動はあるのかを調査した。結果、3つの市では、養蚕製糸業の歴史を蔑ろにせず、後世に伝える活動を行い、歴史を活かしたブランドを立ち上げ、他の市町村や他県に様々な方法でPRを行い、成功を収めていることが明らかになった。
今回の研究を通して、現在の南陽市には養蚕製糸業に関する建物があまり残されていないため、PRが活発に行われていないことが判明した。 しかし、南陽市は3つの市から学び、活かすことができれば、養蚕製糸業のPRにつなげていくことができると考えているため、これからに期待している。

1.山形県南陽市

2.南陽市交流プラザ蔵楽