歴史遺産学科Department of Historic Heritage

岩田唯|本庄まつりの記録と保存のあり方 −照若町を事例として−
埼玉県出身
志村直愛ゼミ

 筆者の地元である埼玉県本庄市では、毎年11月2・3日に本庄まつりが催される。本庄まつりは、本庄地域で厚く信仰されてきた金鑚神社の例大祭で、御例祭本儀や神輿の渡御に合わせ各町から全10台の山車が町内を回る、附祭りとなっているのが特徴である(図1・2)。先行研究としては水島治平の『本庄まつりの山車』、本庄市教育委員会の「本庄まつりの山車調査報告書」が主に挙げられる。個人や諸団体の中で作成された資料、SNSから写真や映像がある。しかし、練習や準備・片付けの様子を記録したものは少なく、町の人たちの中で慣例的に行われているため、今回は照若町を中心とした現状の記録をとることを目的とした。

論文の作成に際し、2024,2025年の本庄まつりにて調査を行い、本庄まつりにおける照若町の体制、囃子、実際の行程についてまとめた。また、市役所へ取材を行い山車・まつりへの市の関わり、現在行っている活動を伺った。まつりの保存に関して、「本庄市文化財保存活用地域計画」には2つのテーマの関連文化財群・保存活用区域に本庄まつりを取り入れ、指定の検討に必要な資料や調査結果を蓄積する旨があるが、まつりの内容が年々変化していることから条件を満たさないとの指摘を受け、まつりそのものの保存に関しては動いていない。市指定の有形民俗文化財である山車の管理は、山車を所有する各町に委ねられており、有事の際に届け出を出し対応する形をとっている。

本庄市では少子高齢化が課題である。その中で、照若町ではまつりへ参加する子供の人数に、年ごとにばらつきはあるものの減少傾向は見られなかった。これには、照若町自治会の該当地域が比較的広く、空き地や畑が新たに住宅地となったこと、近年小学校で総合的な学習「伝統行事を学ぼう」が行われ、新たに子供が囃子に触れる機会を得たこと等の理由が挙げられる。また、調査の中では山車の掃除の際に漆部分についた脂を落とすのに苦労している姿も見受けられた。今一度保存管理に関して、山車を持つ町同士での情報交換、可能であれば専門家への相談が必要ではないか(図3)。 照若町でも高齢者割合が高まり、自治会に加入しない人の増加等、住民の地域への関わり方にも変化が起きている中で、囃子の稽古では町内の大人と子供が集まり、山車が回る際には人々が交流する場となっている。町内での慣例的な側面が多い現状と、個人資料が散逸する前に、収集・把握が必要である。

1. 渡御する神輿

2. セレモニーにて集合する山車

3. 準備段階の山車