阿部颯斗|日本アニメの労働環境と、動画共有サービスを媒体としたアニメ動画の制作・流通に関する研究
宮城県出身
松田俊介ゼミ
近年、動画共有サービスYouTubeにて自社IPを活用した「YouTubeアニメ」の制作・配信を行うIPビジネスが普及し、動画共有サービスを媒体としたエンタメ市場が新たに開拓された。YouTubeアニメはテレビアニメよりも制作工程が少なく、リモートワークを中心に少人数で制作可能である点からもアニメ業界にとって労働環境的な意義をもつ制作法式となりうるのではないだろうか。本研究では、「YouTubeアニメ」を、小規模体制かつ比較的短時間尺で作られ、口パクやカメラワークの活用で動きを作ってネットで流通する「漫画とアニメの中間にあたる表現手法を用いたメディアコンテンツ」(白峯 2024)として概念規定し、YouTubeアニメの制作意義と労働環境の実態はいかなるものか、検討していく。
コミスマ株式会社・YouTubeスタジオ運営責任者のM氏、YouTubeアニメ制作に携わるイラストレーターのY氏にインタビューをともなう取材を行い、そのインタビュー内容について纏める。YouTubeアニメの制作技法において、キャラクターの動きが少なく、口パクやカメラワークを多用しているのは、制作コストや制作者の労力削減によるものであり、口パクの他、素材を上下左右に揺らし動きをつけるなど、動画編集上で工夫している。10分前後の尺における平均作画枚数は約30枚、平均制作人数は約6〜10人、平均制作期間は約3〜4週間、制作は約7工程で構成されている。テレビアニメ業界出身の制作者も在籍しており、出産等の環境変化により自分のペースで働き易い環境を希望し、リモートワークでYouTubeアニメの制作業務に従事している。リモートワークにおいて、業務開始・終了時間が固定されていないためスケジュール調整がし易い点がメリットとして挙げられる一方、対面に比べてクライアントとの連携や意思疎通に時間を要する場合がある点がデメリットとして挙げられる。
YouTubeアニメの制作は、制作コストを抑え制作者の負担抑制に繋がっていることから、テレビアニメと比較(表1)して省力的な手法といえる。また、リモートワークは時間や場所にとらわれず制作者個人の都合に合わせた働き方が可能である一方、リモートワーク下でのコミュニケーションにおける迅速性の低下は重要な問題として捉えられている。これについては、対面での制作業務も取り入れていくことが解決方法の1つとして考えられる。

1. 制作における比較表(表1)