文化財保存修復学科Department of Conservation for Cultural Property

髙橋菜奈|木型を中心とした渋江人形および山形張子の調査
神奈川県出身
宮本晶朗ゼミ

渋江人形は山形市で製作された張子、練り人形のことを指す。渋江長四郎が作り始めたことが起源とされ、渋江家で製作されてきたが、杜絶したのちは弟子の岩城家で山形張子として継承された。本研究は、山形県の郷土玩具である渋江人形・山形張子について、その起源となる渋江長四郎に関する通説と過去の文献の記述に異なる点があることがきっかけに始まった(図1)。また、調査の中で人形製作に用いられる山形張子の木型が未調査であることがわかった。そのため、本研究では渋江長四郎および渋江人形の製作技術を継承した渋江家、岩城家歴史、およびその製作に用いられた渋江人形と山形張子の木型について調査し、整理することを目的とした。研究方法は文献調査、作品調査、聞き取り調査の3つである。文献調査では、初代渋江長四郎とその系譜、弟子である岩城家の歴史をまとめた。山形県立博物館の木型計50点と未調査だった岩城人形店の木型計109点の写真撮影や法量計測等の作品調査も行った(図2、3)。人形店の聞き取り調査では、主に現在の継承者である岩城勇二氏のこと、岩城の先代のことがわかった。渋江人形・山形張子の作風は一貫した類似性が感じられ、これは木型が代々継承・再利用され、造形は大きく変化せず受け継がれてきたからである。一方、彩色は代ごとに変化しやすく、作者の個性が強く表れる工程である。現在は岩城人形店にて山形張子が製作されているものの、近年は需要減少により製作規模が縮小している。本研究は、渋江人形と山形張子の通説とは異なる歴史を整理し、未調査だった木型の調査を行った。一方で木型や張子に未調査のものがあるため資料不足である点、渋江人形は練り人形についても指すため練り人形としての調査が必要である点、使用されていない木型の保存についてなどの課題も残る。

1. 山形張子木型

2. 詳細調査の様子