文化財保存修復学科Department of Conservation for Cultural Property

一條瑞姫|博物館収蔵庫問題に関する課題と現実
宮城県出身
村上智見ゼミ

 現在、全国で博物館や美術館で資料を収集・保管する収蔵庫が不足している。このままの状態が続けば新規で資料を収集することができず、既存の資料も適切に保管することができなくなってしまう。全国では明確に収蔵庫が不足しているという情報が出ているが、各地域での情報は少なく本研究では筆者の出身地である宮城県の県立・市町村立博物館を対象に調査した。現状を把握し、今後の課題や可能性を考察し地域博物館の収蔵庫問題の改善の一助とすることを目的とする。

  先行研究では収蔵庫不足に対する対策として、廃校などの外部施設を活用した臨時の収蔵庫や、展示室内に収蔵スペースを配置する「見せる収蔵庫」などが挙げられた。しかしこれらの方法はあくまで臨時的かつ限定的な方法であるため、根本的な解決には至っていないことがわかった。

  宮城県の県立・市町村立博物館を対象にアンケート調査を行った結果、全国の調査と同様に収蔵庫は全体的に不足していることがわかった。対策も先行研究でも出ていた別の施設を活用した収蔵庫を確保することが挙げられた。

しかし、収蔵庫不足のほかに新しく収蔵庫の保存環境という新しい問題が挙げられた。廃校を活用した収蔵庫などは本来収蔵庫の為に建てられたものではない為、温湿度管理が十分にできていない場合があることがわかった。また、アンケート調査に加え県立博物館には聞き取り調査を行い、外部収蔵庫の建物の老朽化や東日本大震災による影響で、関係者以外の立ち入りができない状態であることがわかった。その他にも虫害や獣害によって収蔵資料が損傷しているものがあることがわかった。(図1)   今回アンケート調査、聞き取り調査を行ったことで、宮城県は全国と同様に博物館収蔵庫のスペースは不足していることがわかった。廃校などを活用した外部施設の活用などの対策は行われているが、保存環境などの新しい問題が生まれていることがわかった。また、宮城県の場合東日本大震災の影響を受けている可能性もあり、建物の耐久性の問題もあると考えられる。

1. アンケート調査、聞き取り調査を実施した県立の東北歴史博物館