[優秀賞]
松浦虹太|The Body
山形県出身
金林剛ゼミ
高さ1900mm×幅1500mm×奥行き1500mm 映画
自身の肉体を介し、歩むという行為そのものが自分自身に痕跡を刻み、「私」という存在を知ることができるのではないかという感覚をテーマにした映像作品である。本作は、自身を客体として捉えるのではなく、世界の中を生きる主体としての「私」に焦点を当てている。明確な物語やセリフを排し、人物の「移動」「時間の経過」「他者や世界とのつながり」を観察的に捉えることで、内面の変化や存在の確かさを静かに浮かび上がらせる。
金林剛 准教授 評
松浦虹太は、映像身体表現をベースに、人間の内的心理とメディアの関係性を探究してきた。映像と身体をめぐる継続的なリサーチと表現技法の実験を通して、彼が辿り着いたのは、「鎮座した石の身体オブジェ」と「流動する光」という相反する要素の結合である。本作は、2メートルを超える石の身体オブジェに20数個のモニターを埋め込んだ大型インスタレーションである。現実空間において身動きを封じられた石の身体は、内側に埋め込まれた映像世界の中で、思考のトライアンドエラーを繰り返しながら、終わりなき彷徨を続ける。物理的な拘束と精神的な解放。マテリアルの重厚さとピクセルがもたらす軽やかな運動。それらが交錯する境界で、観る者はどこか知らぬ地を歩み続ける思考の運動を目撃することになる。誰も到達したことがない未開の地へ彼は今日も歩み続けるだろう。