映像学科Department of Film and Media

[優秀賞]
佐藤栞 佐藤秀吾 安達雄一郎|『彼方に残るもの』
宮城県出身 福島県出身 山形県出身
金林剛ゼミ 金林剛ゼミ 早川敬之ゼミ
映画

恋愛や友情といった既存の名前では括れない関係性の揺らぎを描く物語。静かな喫茶店で出会った二人は、距離を保ちながら同じ時間を重ねていく。周囲との関係や他者の視線を通して、自分たちの曖昧な繋がりを見つめ直すが、明確な答えは得られない。それでも、交わされなかった言葉や隣にあった体温、積み重なった沈黙の中に、確かに存在した関係の痕跡だけが、彼方に残り続ける。


金林剛 准教授 評
佐藤栞のシナリオを初めて読んだ時の新鮮な驚きは、今も色褪せない。言葉を紡ぐしなやかさと華やかさは、瑞々しい清涼感を放ちながら、一方で我々の胸の奥を鋭利に突き刺す残酷さを併せ持つ。当初、彼女は自ら監督を務めることに躊躇していた。自身が生み出した世界観を、自分自身の手で壊してしまうことを恐れたのだろう。しかし、改訂を重ねるたびに脚本の輝きは増し、ついには作家である彼女自身をも飲み込んでいった。そうして実を結んだのが本作品である。初監督にして、脚本に込められた繊細な真実と切実さを鮮やかに描き出し、現代の若者が抱える孤独や渇望を浮き彫りにしてみせた。彼女の並々ならぬ覚悟が刻まれたこのデビュー作を、ぜひシネマ劇場で、その目で目撃してほしい。