[優秀賞]
岩原星来|地域と歩む工業高校の形~地域資源・産業・文化を活かした学びの提案~
岩手県出身
佐藤充ゼミ
近年、地域産業を支える人材育成としての役割を担ってきた工業高校の数は減少しており、地方の人材不足は深刻化している。この状況は地域経済だけでなく、文化や技術の継承にも影響を及ぼしている。本研究では、地域に根付く気仙大工の伝統技術を取り入れながら、住田町の豊かな森林資源を活用し、木材の生産から加工・利用までの一連の流れを、生徒が地域住民や企業と関わりながら実践的に学ぶことが出来る工業高校を提案する。
佐藤 充 准教授 評
林業のまちとして知られる岩手県住田町を対象敷地とした工業高校の設計である。住田町は、豊富な森林資源を有し、気仙大工という日本四大名工の一つに数えられる優れた技術を持った職人集団が存在していた。しかし、担い手不足によりその産業と文化は衰退の一途を辿る。こうした状況に対し、先祖代々大切に育てられた森林資源を活用した伐採、製材、加工にいたる林業と気仙大工の技術を継承し、木材による経済循環の新たな拠点となる工業高校の提案である。伐採、製材、乾燥、加工へと姿、形を変えていく木の加工工程と教育プログラムを重ね合わせ、森林から気仙川に沿って展開する校舎は、気仙大工のアイデンティティとも言える多段梁や、繊細な木組み格子を応用した耐力壁によって、美しく表現されている。ここで学ぶ学生は、実習を通して校舎の一部を増築しながら技術を学び、その過程で副次的に生まれる木端を燃料や木工工作の材料として地域に提供することで、コミュニティの結節点となり、教育がまちに浸透し産業と技術が継承されていく。