プロダクトデザイン学科Department of Product Design

[優秀賞]
引地涼翔|S3LIT
埼玉県出身
渡邉吉太ゼミ

S3LIT(スリット)は、3Dプリンタによって積層された色彩がスリットの隙間から見えることで、多彩なCMF(C=color、M=material、F=finish)表現を可能にするデザインである。この研究は、数年後に3Dプリンタが一家に一台普及する社会を想定し、「色や素材を自ら生み出す楽しさ」を提供したいという思いから始まった。


渡邉 吉太 准教授 評
立体的に積み重ねた色の層がスリットから見え隠れすることで、奥に潜むものが幻影のように現れる。文字にすれば「ただそれだけのこと」なのかもしれません。けれど、もしかしたら世界はまだ、その単純さに気づいていなかった。世の中を変えてしまう発見とは、涼翔がこの研究で見つけた現象のように、簡潔でありながら奥行きを持ったものなのだと思います。「今週は全然進められていません」と言いながら、紙袋からごっそりとスタディを取り出して並べる君の姿を鮮明に覚えています。嬉々として難題に向かい続けるその態度は、いつのまにかゼミに希望を与え、周囲を鼓舞していました。苦労や試行錯誤を表に出さず、淡々と求めるものを追い続ける。その眼差しの強さは、誰にでも真似のできることではありません。静かな情熱に呼応するように、まだ誰も見たことのない現象は導かれました。「ただそれだけのこと」と、淀みなく言えるようになった裏側にある苦しい時間も共にできたこと。追い求めた美しさの種を捕まえた、その瞬間に立ち会えたこと。一緒に重ねた研鑽の日々は、僕のかけがえのない宝になりました。これからも歩みを止めず、より高い次元のデザインを世に問うていくであろう涼翔の姿を、僕は確信を持って想像できます。優秀賞、おめでとう。