[優秀賞]
鴫原朋花|AIを活用した学びをひらく美術教育
宮城県出身
渡邉吉太ゼミ
人とAIは創造の場でどのように関わることができるのでしょうか。本研究は子どもたちに美術をもっと身近に、楽しく感じてほしいという思いから始まりました。AIをアイデア発想や制作の伴走者として用いることで、誰でも試すことのできる発想展開の手法と創作プロセスを生み出しました。本展示は美術教育におけるAIの活用実践とその展望を総括した立体論文です。人とAIが協働した創作の過程、そしてその可能性を示します。
渡邉 吉太 准教授 評
「教育実習で出会った子どもたちに、力をもらいました」。目の奥に輝きを取り戻したその姿に、ゼミの皆で「本当の朋花が戻ってきた!」と喜び合った、あの日のことを今でもよく覚えています。対話型AIを活用した新しい美術教育のあり方を探った本研究。この研究において、何かを生み出す主体は、あくまで生徒たちです。彼らの抱える美術へのコンプレックスや戸惑いを解き、創造の実感へ導くこと。それが、君が自らに課した役割でした。美しいものへの感度もこだわりも誰より強い朋花が持つ想像力を、自身のためではなく、美術を楽しめない子どもたちへと向けると決めたとき、止まっていた歯車が静かに、しかし力強く動き始めた。僕はその変化を見ていました。デザイナーが、デザインをしないという選択をする。葛藤の先に君が見いだしたその答えは、これから出会う多くの子どもたちに、少しずつ影響を与えていくはずです。優しさも、想いも、AIも、本来それ自体にかたちはありません。それでも、作為や過度な介入を抑えながら作り上げたこの「立体論文」には、揺るぎない手触りと確かな温度があります。命をつなぐために不可欠というわけではない「美しさ」を、人はなぜ求め、愛するのか。本研究は、その深い問いへ向かうための、ひとつの入口を示したように思います。ここまでの歩みを、心から誇りに思います。優秀賞、おめでとう。