美術科 工芸コースDepartment of Fine Arts Crafts

[優秀賞]
平田ゆり|まるで植物のように、
長野県出身
佐々木理一ゼミ
H6×W24×D40 mm~H20×W120×D150 mm silver925、真鍮、銅、洋白

風でざわめき、朝露がきらめく。
線に残る、生きようとする痕跡。
しなやかでありながら脆く、したたかでありながら儚い。
私は植物を観察するうちに、彼らに内在する意思のようなものから、人の感情を刺激する要素について観察した。そして、それを金属の色や質感に置き換え、身につけられる形へと造形することを試みた。
植物がくれる一瞬の輝きを逃さぬよう、私は金属にその痕跡を託す。


佐々木理一 准教授 評
「植物、金属、人への愛」 古来より自然讃美は多様な芸術を生み出してきた。この研究は植物の美しさを金属の素朴なエネルギーで魅了する神秘的な装身具の標本だ。
平田は山梨県、八ヶ岳山麓標高1100mの高原で四季折々の自然と共に生きてきた。そして感覚的でありながらも造形に対する熱い実直さを持っていた。工芸を選んだのは手を動かすことが好きという単純な理由だった。失敗を繰り返しながら形を作り上げていけることに無我夢中になり、ものが人に使われることによって大切な存在になることの楽しさを授業で知った。
取り組み方は100以上の丁寧なサンプル制作に多くの時間を費やしてきた。試行錯誤の結果、金属の魅力をダイレクトに引き出すこと、装身具として機能を持つことにより動的で平面性にこだわり洗練されたデザインを抽出した。強い金属としなやかな植物の対照的なコントラストが独特の作風となり生命力を秘めたメッセージ性あるアクセサリーとなった。普遍的な美的価値は古来より変わらず尊い。