[最優秀賞]
一之瀬百香|Mosaic Flowers
長野県出身
深井聡一郎ゼミ
H35×W230×D170 mm~H35×W265×D170 mm 陶土、顔料、釉薬
「永久的に残る素材で、時間や存在を記憶し、人から人へ物語を紡いでいく」というテーマを軸に制作している。本作では、18世紀イタリアで発祥したマイクロモザイクの技法を、陶芸における新たな装飾表現として再構築した。日常の中でふと忘れてしまいそうな瞬間を、暮らしの象徴となる装飾性の高い器がそっと呼び起こしてくれる。そんな時間や記憶を受けとめ、後世へと紡いでいく存在でありたい。
深井聡一郎 教授 評
一之瀬百香は、彫刻と陶芸を融合させた作品制作を志し、本学に入学した。三年次に大学院への進学を決めた際、作家として生きていく覚悟を固め、自身の武器となる表現を模索し始めた。彫刻ではなく「器」を選択したが、その根底には彫刻的な視座が一貫して存在している。また歴史リサーチを重ねる中で出会ったのが、紀元前に起源を持ち、17世紀に携帯可能な装飾として発展したマイクロモザイクであった。自身が一生の武器とする手法に出会った時の興奮を共に味わえたことは、指導教員としてこの上ない喜びである。
会場で流れるメイキング映像をぜひ観ていただきたい。そうすれば、この制作がいかに過酷で、異常とも言えるほど緻密であるかわかっていただけると思う。現在、皿一枚の制作に約10日を要し、月に3枚が限界な状態だが、大学院進学後は制作速度を上げること、作品の価値を上げていくことの両立を探ることになる。
それでも私には明るい未来しか見えてこない。最優秀賞おめでとう!