
[優秀賞]
清野颯大|変容
福島県出身
吉賀伸ゼミ
金属
丸鋼を切り分け、熱で溶かし、曲げながらまるで編み物がほどけていくように進めている。あるもの(人、物事など)が、それまでの姿・形・性質から大きく劇的に変化し、全く別のものに生まれ変わる過程。さながら、幼虫から蝶への変態のように、価値観や視点が根底から覆されることで、世界の見え方が一変する瞬間。この作品は、物質が持つ元の形を大胆に破壊し、新たな構造へと移行させることで、認識と創造の可能性を追求している
吉賀伸 教授 評
はっきりとした輪郭を持たない、2対の大きな生物。殴り書きのように走る黒光りの線は、血管か神経なのだろうか。しかし、中枢は見当たらない。万物の初めと終わりを表す阿吽の形象は、空間にほどけゆく身体を残して存在を問いかけてくる。
清野くんの原点には特撮や怪獣への興味があるが、作品制作をただの模倣や趣味の延長としては捉えていない。自身の手から生み出す創造物として、新しい生命を出現させる重要な行為として、真剣に向き合ってきた。2年生で手応えを感じた鉄という素材に魅了され、怪獣などの異形なもののイメージを抽象的なかたちに置き換える方法を探ってきた。鉄を熱し、叩き、曲げるという肉体的に負荷のかかる作業を果てしなく繰り返しながら・・・。卒業制作では、怪物のイメージと自身の行為性が混ざり合い、情念が少しずつ浄化され、ある種の神格化のように彫刻作品として昇華されている。
大胆な発想、途方もない作業をやり遂げるマインドとタフネス、大食いで力持ち、口下手な不器用さ、優しい心、などなど、人としての絶大な魅力もまた、この作品に全て注ぎ込まれている。これからも真実の物作りを続け、邁進してもらいたい。