美術科 日本画コースDepartment of Fine Arts Japanese Painting

[最優秀賞]
吉澤日菜野|つくり、つくられ
千葉県出身
金子朋樹ゼミ
1900×2800mm


金子朋樹 准教授 評
 吉澤さんはこれまで、各地でのフィールドワークを通して得た自然の循環をテーマに、真摯に制作へと取り組んできました。万物は互いに形づくられ、私たち自身もまた広大な世界の一部であるという真理を、生命感あふれる色彩を用いて鮮やかに描き出してきました。
 その根底にある思想を象徴する吉澤さんの「歩きながら世界を見た」という一節は、モーリス・メルロ=ポンティが説いた「身体性」の本質を捉えています。知覚とは、世界を外側から客観的に観察する行為ではなく、身体という生きた存在が世界へと直接的に参入していく動的なプロセスに他なりません。
 植物のようにかたちを成し、行く人の姿に呼応して自らの背筋を伸ばすとき、自己と世界の境界は融け合い、両者は「分かち合われた一つの手触り」として立ち上がります。身体はもはや単なる観察の道具ではなく、風景の一部として混ざり合う表現の主体そのものとなり、色鮮やかな色彩とともに植物や人々が重なり合う豊かな表現となって絵画に結実しました。
 「何もかもが私たちに寄り添っている」という気づきもまた、私たちが世界の中に包まれ、同時に世界もまた私たちの中に宿っているという相互浸透の事実を、圧倒的な臨場感をもって提示しています。