美術科 テキスタイルコース

 

種からの栽培が育む自然観・生命観を糧に生きた表現を確立

テキスタイルは古来より独自の文化と芸術を育み、最もオリジナルな生命観を表す象徴的な存在として、世界中で多様な広がりを見せています。学びの核になるのは、自然素材の研究。コース専用の畑を持ち、学生自ら染料となる植物を種から栽培。素材の栽培から作品制作へとつなげていくことで表現の可能性を意識し、探求していきます。さらに他コースと連携し、分野を越えた制作に取り組む機会が多いのも特長。豊かな自然に囲まれた山形の大地で生まれた素材を生かし、実験的な芸術表現へ挑戦することをテキスタイルコースは目指します。


芸工大のテキスタイルコースだからできること

畑で種から育てる
自然の力との出会いは、造形を生み出す根源となります。学内の畑「染料博物館」に毎年種を蒔き、土地に根ざした植物を種から育てて染料として収穫する経験を経て、自らの表現へと展開していきます。

幅広い素材や色を知る
1年次から幅広い素材を体感し知識を構築。土や金属漆などによる制作や、言語的な意味と関連させた染織を体験します。テキスタイル表現と「色」は密接な関係。紅花のほかにも、風土に関わる色や素材と出会うプロジェクトが豊富です。

身体考察を深める
2年次では「ペルソナ(仮面)」をテーマに、作品制作とその展示会を企画。身体考察を深め、知的好奇心と創作への意欲を引き出します。自己を作品に映し出すことで、発想の根源を探っていきます。

地域や文化に触れる
地域文化との協動性を重視し、フィールドワークを展開。縄文文化や先端の地場産業の見学・研究を実施。また様々なアーティストとの交流など、枠を超えて色々な世界観に触れ自らの可能性と社会性を豊かにします。

4年間のカリキュラム
  • 1

    自然から感じる力を高め、素材に触れる/染料畑で種を蒔くなど、自然界から感じる力を高めるため能動的に動くことで「感じる」下地をつくる。後期は足踏みの糸車などを使い、綿・絹・ウールを紡いで自らの素材のサンプル集を制作。さらに原始的な機織りや藍染め、絣などの技法も習得。

    【必修科目(1年次)】芸術鑑賞の喜び/芸術思考論/テキスタイル基礎演習1・2/テキスタイル・素材トレーニング演習1・2/工芸論
    【選択必修科目(1~4年次)】日本美術史概説/西洋美術史概説/東洋美術史概説
    【選択科目(1~4年次)】美術解剖学/芸術色彩学/工芸論/版画史/工芸史/工芸特別演習

  • 1
    テキスタイル基礎演習1
    牧場で羊の毛を刈る様子を観察し、毛が刈られた裸の羊をデッサン。身体感覚やデッサン力、多角的な見方を獲得。(必修)
  • 1
    テキスタイル基礎演習2
    工芸素材(漆、金属、土)と基礎技法、種を蒔いた紅花や藍の収穫を体験。紅花をモチーフに型紙を作り藍染を行う。(必修)
     
  • 1
    テキスタイル・素材トレーニング演習2「和紙」
    繊維(和紙)造形の可能性を探求。人と社会への積極的な協調性、コミュニケーション力を養う。(必修)
  • 1
    テキスタイル・素材トレーニング演習2「織り」
    織機の原理を理解し、基礎的技法を習得。紡いだ糸や布をサンプル集として冊子に纏める。(必修)
  • 1
    紅花ルネサンス(イベント)
    全学年で取組む、紅花を軸としたワークショップとシンポジウム。栽培した紅花染料を用い、テキスタイルから私たちの未来を考察。
  • 2

    テキスタイルと人との関わりに気付く/前期は、不織布(フェルト)の理解を深め、和紙でテント「パオ」を作り素材に包まれることや、染織も体験。後期はペルソナをテーマに、身体・心身・身心を考察。造形への関心と自身の特性を探り、可能性を(再)発見する。ポスター制作や展示準備も実施。

    【必修科目(2年次)】テキスタイル・素材トレーニング演習3/テキスタイル・身体考察演習1・2
    【選択必修科目(2年次)】美術科共通演習(絵画・彫刻・工芸・総合)A・B・C
    【選択必修科目(2~4年次)】日本近世近代美術史/現代美術史
    【選択科目(2~4年次)】素材学(日本画)/素材学(洋画)/芸術思考と社会/美術の見方/素材学(版画)/素材学(彫刻)/先端的コンテンツとアートシーン/衣服論/染色論/クリニカルアート演習

  • 2
    美術科共通演習(工芸)
    楮(こうぞ)など植物原料の特質やルーツの理解を深める。紙すきを行ない、その紙で人を包む空間を制作。(必修)
  • 2
    テキスタイル・身体考察演習1・2
    身体表現などで自身の特性を探り、外界(空間)へと創作意欲を結びつけ、自己を開放する作品を制作。(必修)
  • 3

    表現への物語とテキスタイルの技術を培う/前期は「ペルソナ」作品展示や、ライティングオブジェクトの作品を制作。また自身のストライプを考え6m以上の織物を織る経験も。後期は絞り染めなど伝統染色の技術に特化した授業が中心。伝統技法やコンピュータプリントなど、対極にある技術も理解。

    【必修科目(3年次)】複合素材演習/テキスタイル応用演習1~3/ポートフォリオ研究/ポートフォリオ作成
    【選択必修科目】アーティストマネジメント/キャリアマネジメント
    【選択科目】アートマネジメント概論

  • 3
    テキスタイル応用演習1 「ストライプストーリー」
    ストライプ(縞模様)を自身の物語りから考え、配色。植物染料で染色して6mの織を制作。(必修)
  • 3
    テキスタイル応用演習2
    伝統的な染色技法とデジタル捺染など先端技術を理解し、表現の基礎を構築。「儀礼」をテーマに様々な技法で5mの布を制作。(必修)
  • 4

    【必修科目】テキスタイル・環境造形演習1・2/卒業制作

    自身のテキスタイル表現と社会とを結ぶ/肘折温泉や白鷹町などで地域活性プロジェクトに参加し、地域に貢献する力を育成。相手の意見を聞き出し作品とすることで、地域の意見を取り入れた作品に仕上げる。卒業制作の講評では特別講師を招き、プロからの意見を聞くことで社会での評価を知る機会とする。

  • 4
    テキスタイル環境造形演習1・2
    風土や歴史を意識した「みちのくの色とかたち」を考え公共芸術の制作に挑戦。環境と地域に配慮した取組み。(必修)
  • 4
    卒業制作
    制作テーマを確認し、集大成に相応しい明確な自分の意志が表現された作品を仕上げる。卒業後の活動にも大きな意味を持つ。(必修)

活動レポート

  • テキスタイルコース専用の畑

    キャンパス内に広がるコース専用の畑。毎年学生が耕し、種を蒔き、紅花や藍などを栽培。植物が大地で力強く育つ姿は自身の作品にも大きな影響を与えます。

  • 紅花プロジェクト

    紅花で染色するワークショップを冬至に開催。春は種から育て、夏に花を摘み、染料(紅餅)として保存。1年を通したプログラム。自然の色の力を体感し、自身の制作へとつなげます。

  • 糸を紡ぐことからはじまる

    布の原料の糸を紡ぐところから体験。自然との関係を理解することは、作品を制作するにあたり必要不可欠。糸を紡ぐだけでなく、昔の織機を使用して布を作る実習もあります。

  • 自己との対話「ペルソナ展」

    「ペルソナ(仮面)」をテーマに、心と身体の分析、例えば皮膚から発想を膨らませるなど、自由な作品制作と展示に挑戦。知的好奇心と感情の豊かさをもたらす感性の現場。

  • ライティングオブジェクト展の開催

    開学当時から工芸コースとともに開催。テキスタイル素材を中心に金属や土など他素材も取り入れ、光を用いた作品を自由に制作。約4ヶ月をかけて大作に挑みます。

  • 「儀礼」をテーマに作品を制作

    学んできた伝統技法、デジタル技法を駆使して、「儀礼」をテーマに5mの布を制作。自分ならではの作品表現に挑戦。作品の展示会を毎年行います。


作品紹介

  • 媒介するモノ

    鳥潟由子「媒介するモノ」

    H1400×W5500×D5500mm 古布・桑木・柿渋・アカネ・スオウ

  • 私は私自身を受け入れる。なぜなら私は私自身の母であるから。

    吉野菜苗「私は私自身を受け入れる。なぜなら私は私自身の母であるから。」

    H3000×W3000×D5000mm シルクオーガンジー・藍・木綿糸

  • 紲〈セツ〉

    高橋由衣「紲〈セツ〉」

    H3000×W5000×D5000mm 卵の殻

  • いのちの在る場所

    岸香純「いのちの在る場所」

    H3000×W3000×D3000mm 絹・藍

  • 鶏が先か、卵が先か

    斎藤円香「鶏が先か、卵が先か」

    H1500×W4000×D4000mm 羊毛・布・糸・針金

  • 浄巾 -祖母・母・私-

    小笠原みなみ「浄巾 -祖母・母・私-」

    H2300×W4200×D100mm 古布・糸

  • of/by/for/me

    吉田紗央里「of/by/for/me」

    H3000×W2000×D2000mm サテン、針金、刺繍糸

  • てのひら

    内藤春菜「てのひら」

    H750×W2100×D2100mm

  • 武田瀬里香「素」

    サイズ可変 竹(芸工大の竹

  • ciculation

    大滝葵「ciculation」

    H2000×W2000×D450mm 古着、糸

  • die Füße

    菅原愛佳「die Füße」

    H3000×W3000×D3000mm 羊毛

  • ヒッキー山荘

    伊藤早樹子「ヒッキー山荘」

    H2800×W5000×D4300mm(立体)、W8200×D6700mm(平面) ミクストメディア

  • 運ばれていくもの

    石川遥「運ばれていくもの」

    H7000×W2500 キャンバス地、蝋、染料

  • 擁する楔

    及川由里恵「擁する楔」

    H4000×W4000×D630 羊毛

  • あの日

    竹越友美「あの日」

    野の草花、W5500×H4396mm

  • screen

    田中可也子「screen」

    布フィルム:W175×H138000mm

    16mmフィルム:90秒 綿布、麻布、16mmフィルム

  • わん らいふ

    梅津佐和子「わん らいふ」

  • Understand

    高橋明弓「Understand」

    綿、鉄、木、ほか 2400×2400×4000mm

  • みのたけ

    三浦あさひ「みのたけ」

    アケビの蔓、綿布、柿渋 3000×2000×2500mm

  • 儚望

    湯澤亜沙子「儚望」

  • Answer for

    矢口哲也「Answer for」

    綿糸、藍 8400×5000×3000mm

  • 西の終りの東の果ての国の始まりの山がある場所へ

    池谷佳恵「西の終りの東の果ての国の始まりの山がある場所へ」

    インスタレーション

  • gender

    佐藤未萌「gender」

    布、フェルト 800×4500×600mm

  • つむがれていくもの

    押見栞奈「つむがれていくもの」

    羊毛、W4000×D30×H2000mm

  • それでも春はやってくる。

    姫野知佳「それでも春はやってくる。」

    藍、蔦、鉄、W450×D450×H300mm~W950×D950×H400mm(計6個)

  • あなたも、私も

    豊原詩織「あなたも、私も」

    羊毛、W3500×D1000×H3000mm

  • 月の種

    須藤ありさ「月の種」

  • 躯=記憶

    西片祥子「躯=記憶」

    鉄、羊毛、W2500×D2500×H3000mm

  • 胡蝶の閨

    長谷川澄絵「胡蝶の閨」

     

    麻、絹、綿、着物古裂、樹木保護シート、藍、柿渋、茶、珈琲、W1820×D2500×H920mm


フォトギャラリー


教員紹介

辻けい 教授
Tuji Kei

辻けい 教授
Tuji Kei

1979年 多摩美術大学大学院美術研究科修了。修士。

 

1986年 個展(札幌、ギャラリーミヤシタ/旧ラボラトリーギャラリー)[94年、99年にも開催]、石塔のパゴダにおけるインスタレーション(韓国、馬耳山・全州)/第23回今日の作家[位相]展(横浜市民ギャラリー)/古い窯跡でのインスタレーションとパフォーマンスのコラボレーション(常滑)/流氷と雪原のためのインスタレーション(網走)/アボリジニの聖地でのインスタレーション(オーストラリア、マルデューラ)
1988年 アーキテクチュア展 ポスト・ファイバーアートの地平から(東京、スパイラルガーデン)
1989年 個展(オーストラリア、PICA:パース インスティテュートオブコンテンポラリーアーツ)/西オーストラリアでのフィールドワーク:古代の化石木と砂漠でのインスタレーションほか(オーストラリア)/クィーンシャーロット島の森でのインスタレーション(カナダ)[91年にも開催]
1990年 福江島・堂崎天主堂前の入江でのインスタレーション(長崎)
1992年 個展(SOKO東京画廊)[93年、97年にも開催]/アボリジニの聖地、ティウィ島でのインスタレーションほか(オーストラリア)/四国巡遊フィールドワークとインスタレーション(四国)
1993年 花崗岩採掘跡のためのインスタレーション、大連近郊(中国東北地方)/林、水辺のためのインスタレーション、ヴァシヴィエール国立現代美術センター地区内(フランス、リモージュ)/湿地帯のためのインスタレーション、リムーザン地方・リモージュ近郊(フランス・中西部)/ルーシイオンでのインスタレーション、アヴィニョン近郊(フランス南部)
1997年 横倉山カルストでのインスタレーション(高知)/シェルパ族のためのインスタレーション、クンデ村(ネパール北東部)/ケルトの民のためのインスタレーション、スカイ島・ルイス島(スコットランド北西部)
1999年 個展(東京、スペース・カレイ)/安芸川でのフィールドワーク(高知)/正津川・恐山、宇曾利湖のフィールドワーク(青森)
2000年 ウッココリの湖の辺りでのインスタレーションほか(フィンランド、カレリア地方)/ニセコアンヌプリ・蘭越でのフィールドワークほか(北海道、後志)

2013年 東京国立近代美術館工芸館所蔵名品展 近代工芸の巨匠たち 出品作品:「SOMNAMBULISM(夢中遊行)」1985年、レーヨン、織、色彩 田辺市美術館
現在、神奈川県在住

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小牧野遺跡エリア 2006年/photo:Tsuji Kei

柳田哲雄 専任講師
Yanagita Tetsuo

柳田哲雄 専任講師
Yanagita Tetsuo

1976年 栃木県生まれ。東北芸術工科大学デザイン工学部生産デザイン学科(現プロダクトデザイン学科)卒業。学士。

 

デジタル捺染やインテリア・ファブリックを中心としたテキスタイルデザインが専門。その他、素材感を生かしたプロダクト、グラフィックのデザイン。一方、伝統的な染色技法に独自技法を併せた創作活動を展開。展覧会、ワークショップなども行なっている。

2003年 『 JAPAN CREATION 2004 TEXTILE CONTEST』(東京)入賞。2004年 第22回朝日現代クラフト展 入選。2004年 『トーキョーワンダーウォール 2004 』入選。2004年『 8th JTA DESIGN COMPETITION in KYOTO 』(京都)入選。

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非常勤講師

非常勤講師

五十嵐真弓
石田百合
影山のり子
河合規仁
澤井恵子
中島洋一
原口良子
平山素子
森田千晶
山崎和樹
吉本直子


目指せる代表的な職業と取得できる資格

代表的な進路先:
公務員、団体職員/美術館、博物館/商品企画、開発/販売、商業施設/旅行、観光、ブライダル/雑誌・地域紙制作/美術・工芸作家/イラストレーション/アパレル、ファッション/学校教員/NPO(芸術、教育)/学芸員
目指せる主な資格:
小学校教諭一種免許(中学校教諭一種免許取得者が、指定の通信科目を受講することで取得できます)/中学校教諭一種免許(美術)/高等学校教諭一種免許(美術)/学芸員