美術科 彫刻コース

 

心身の全てを使い制作することで生まれる幸福感

手のひらで素材を感じ、空間に立体を生み出す—。彫刻コースでは、木や石など自然素材での制作、デッサンや粘土での塑像制作など、基礎力を1年次から習得します。さらに近隣の自然環境を利用した「木こり体験」をはじめ、実践に重点を置いた授業は、素材によるクラス分けをしないのも特長です。常に問題・課題意識を持ち広いアトリエで素材と向き合い、自身を表現する中で生まれる精神力や自己鍛錬の力は、多方面で可能性を拓く糧となるもの。彫刻家はもちろん、デザイナーや製品開発、舞台美術など幅広い就職実績へ結びついています。


芸工大の彫刻コースだからできること

表情豊かな木彫
独特の風合いや、質感を活かした豊かな表現を探求できるのが木彫の魅力。素材としての木の性質について理解を深めながら、道具の使い方の基礎や伝統的な技法など、一連の造形技術を習得します。

塊から出現させる石彫
石塊に楔を打ち、ハンマーとタガネで刻み出すことで、強い存在感を持った姿を出現させる石彫。切削、研磨技術など、加工法を丁寧に学んでいきます。大きな塊では数トンにも及ぶ石と格闘することも。

自由度の高い金属彫刻
金属は強度がありながらも、実は熱を加えることで変容する柔軟な素材。加工に必要な溶接・溶断・研磨などの技術を習得し、作品として空間に自立させるまでのプロセスを、順を追って会得します。

充実したアトリエ
クレーンやチェーンソー、砕石機、溶接機など、広々とした各アトリエには本格的な機材が揃います。さらに、数トンもの石を扱う石彫アトリエは半屋外型。作品の大きさを気にせず制作に打ち込めます。

フェイスブックページ
東北芸術工科大学彫刻コースフェイスブックページ

4年間のカリキュラム
  • 1

    彫刻制作における基本を知る/デッサンや粘土での塑像制作などで、基礎力を習得。前期は大学周辺の自然を散策し、粘土・石膏を用いて立体作品を自由に制作。後期は裸婦モデルの等身像を制作する。

    【必修科目(1年次)】芸術鑑賞の喜び/芸術思考論/彫刻基礎演習1~4
    【必修科目(1~2年次)】彫刻作法
    【選択必修科目(1~4年次)】日本美術史概説/西洋美術史概説/東洋美術史概説
    【選択科目(1~4年次)】美術解剖学/芸術色彩学/工芸論/版画史/工芸史

  • 1
    彫刻基礎演習1
    カービングが中心の石彫に挑戦。加工に必要な道具作りや素材の知識を得て、基礎的な加工法を理解し、作品を仕上げる。(必修)
  • 1
    彫刻基礎演習2
    鉄材加工に必要な溶接・溶断・研磨を習得し、小作品を鉄で制作。鉄材の基礎知識と彫刻として加工する技術を習得。(必修)
  • 1
    彫刻基礎演習3
    ヌードモデルの等身塑像を粘土で制作。デッサンを繰返し人体の比率や動勢を捉える力を養い、量感とフォルムの概念を獲得。(必修)

  • 1
    彫刻作法
    様々な彫刻家の知識と技術を、画像を見ながら学ぶ。社会での彫刻芸術の在り方を作家の体験談を聞いて考察し、レポートにまとめる。(必修)

  • 1
    芸術色彩学
    海外と日本の色彩の比較など、色の特徴的な代表例を紹介。色を見分けること、配色の基本と意図を伝える配色技術を身につける。(必修)
  • 2

    素材と立体への感覚を広げる/幾何形態の立体構成、線と面の構成に挑戦。また粘土で頭部の像を造り石膏での型取りを体験。後期は1年生で扱った4素材から1つを選択し、完成度の高い作品を制作。石彫では言葉から発想を広げる作品を、金属では雲から発想する形を制作。

    【必修科目(2年次)】彫刻演習1~3/美術と実践力1・2
    【選択必修科目(2年次)】美術科共通演習(絵画・彫刻・工芸・総合)A・B・C
    【選択必修科目(2~4年次)】日本近世近代美術史/現代美術史
    【選択科目(2~4年次)】素材学(日本画)/素材学(洋画)/芸術思考と社会/美術の見方/素材学(版画)/素材学(彫刻)/先端的コンテンツとアートシーン/衣服論/染色論/クリニカルアート演習

  • 2
    彫刻演習1「構成演習」
    板や筒状の石素材で幾何学の形態を理解。三次曲面の立体を構想し、デッサンで計画を立てて形態を作る基礎練習。(必修)
  • 2
    彫刻演習3
    鉄は「雲から発想される形」がテーマ、粘土は裸婦像を粘土から石膏やFRPに素材転換するなど、素材を自ら選択して作品を制作。(必修)
  • 3

    意見交換と作品制作で表現を深める/前期は、現代彫刻史やモダンアートについて仲間と意見を交換。彫刻以外の実験的な制作にも取組み、自身の表現を再認識。後期は自分でテーマを決め、素材を選び作品を2点制作。「かたち展」を開催し、外部目線で作品評価を得る。

    【必修科目(3年次)】彫刻演習4~7/ポートフォリオ研究/ポートフォリオ作成
    【選択必修科目】アーティストマネジメント/キャリアマネジメント
    【選択科目】アートマネジメント概論

  • 3
    彫刻演習4・5「彫刻思考」
    彫刻の社会との関係性を考察しながら表現の幅を広げる。教員との対話を重ね、枠に捉われない作品を制作。(必修)
  • 3
    彫刻演習6・7
    自主制作の一歩としてテーマ設定と材料選択をし、総合的視野で制作。発想から作品完成までの過程を計画し、それを実践。(必修)
  • 4

    空間を意識し、充実した作品を仕上げる/前期1点と後期1点の作品を仕上げる。卒業制作に向けて、制作の立案、制作計画を早くから立て、作品の展示空間を意識した制作を行う。また、卒業後の進路を見据え、作品集を制作するほか就職活動も進め、社会での自立を目指す。

    【必修科目(4年次)】彫刻8・9/卒業制作

  • 4
    彫刻演習8
    培った自分の「いま」を存分に発揮するための形態や素材、技法を自身で判断。卒業制作を見込んだ作品の計画立案と制作に挑む。(必修)
  • 4
    卒業制作
    素材や作品と冷静に対峙し、造形の要素を確認する習慣を再確認しながら、制作計画を立て、空間を意識し、彫刻作品を完成させる。(必修)

活動レポート

  • 地元の「蔵王石」を使った作品を温泉旅館に設置

    「生活環境の中の彫刻」をテーマに、宮城県遠刈田温泉の宿泊施設にある4.2万坪の遊歩道に設置する作品を制作。大きな作品に取組み視察から設置まで、貴重な経験を積みました。

  • 卒業生は大手企業でも活躍中

    卒業生がさまざまな業種で活躍していることも彫刻コースの特徴。毎年のように大手自動車会社へクレイモデラーとして入社するなど、その活躍の場は大きく広がっています。

  • 現役の彫刻家が少人数の学生を指導

    素材や表現様式の垣根を越えて、教員全体で少人数の学生全員を指導。現役の彫刻家でもある教授陣の技術に間近に接することができます。

  • 現役学生が二科展受賞

    彫刻コース4年生の森本諒子さんが若手芸術家の登竜門である「二科展」で、「第100回記念賞」を彫刻部門で受賞しました。卒業生だけでなく、現役学生も活躍しています。

  • 天井が高く広々としたアトリエ

    とにかく広い彫刻コースの専用アトリエ。大きな素材と対峙しダイナミックな作品を制作できます。大きな素材から作品を作ることは彫刻を学ぶにあたって貴重な体験に。

  • 芸工大だからできる木こり体験

    自然に囲まれた芸工大だからこそできる取り組みが木こり体験ワークショップ。地域の素材を育った場所から切り出し作品を制作。周りの環境から様々な素材が手に入ります。


作品紹介

  • 素材

    松岡瑞紀「素材」

    H2200×W450×D450mm 楠・シナ

  • Rocket boy

    田中雄斗「Rocket boy」

    H1550×W500×D400mm 石膏

  • たとえ

    山本雄大「たとえ」

    H1500×W400×D704mm 樟・シナ

  • 透過する奥行

    靏久鉄男「透過する奥行」

    H1900×W400×D500mm グル―

  • 大島宗則「則」

    H1900×W2100×D1100mm 浮金石・鋼材

  • fino del questomondo

    松谷みき「fino del questomondo」

    焼物彫刻

  • 歴史の断片「捕食」

    林拓也「歴史の断片「捕食」」

    H1550×W1100×D2300mm 楠・欅

  • 思い、巡る

    三橋麻依「思い、巡る」

    H1500×W600×D600、H700×W1200×D1000mm 布・綿・発泡ビーズ

  • 壊れることのない電球

    東海林史恵「壊れることのない電球」

    鉄材

  • 透過する奥行

    靏久鉄男「透過する奥行」

    H1900×W400×D500 グル―ガン

  • 瀬戸志保「焔」

    H2700×W1000×D600mm 御影石

  • 水の底

    大井綾香「水の底」

    H1500×W600×D500mm 楠、アクリル絵具

  • background

    山田美樹「background」

    H750×W4500×D2000mm 石彫

  • fino del questo mondo

    松谷みき「fino del questo mondo」

    焼物彫刻、W3100×H2700×D1400mm

  • STARTEND

    久米秀亮「STARTEND」

    木彫

  • 壊れることのない電球

    東海林史恵「壊れることのない電球」

    金彫

  • はじまり

    瀬戸志保「はじまり」

    石彫

  • おでまし

    石川霞「おでまし」

    石膏彫刻

  • a red statue

    及川裕介「a red statue」

    木刻

  • 歴史の断片『捕食』

    林拓也「歴史の断片『捕食』」

    楠欅、H1550×W1100×D2300mm

  • 来栖花「息」

    「息」

    伊達冠石、H650×W900×D800mm

    「息2」
    伊達冠石、H550×W650×D600mm

  • 朔/loser

    飯泉祐樹 H1900×W460×D400mm「朔/loser」

  • 所在

    山田美樹 インスタレーション「所在」

    インスタレーション

  • 私の心地よい感覚Ⅰ、私のベッドと椅子

    沓沢佳奈「私の心地よい感覚Ⅰ、私のベッドと椅子」

    土・芝・ほか ミクストメディア


フォトギャラリー


教員紹介

保田井智之 教授 /コース長
Hotai Tomoyuki

保田井智之 教授 /コース長
Hotai Tomoyuki

1956年 宮崎県生まれ。武蔵野美術大学造形学部彫刻科卒業。学士。

 

主に木とブロンズを用いて、作品を制作。「塑」ということと「素材の単位」について制作を通じて研究している。

2005年 平櫛田中賞受賞。2011年11月 県文化賞(宮崎)。県の文化向上、発展に貢献した人や団体に贈られるもので、受賞者累計は281人と1団体となっている。

06_p01_1

「質問者 an interrogator」
スプルス、姫小松、チーク、桧、さわら、ブロンズ
第22回平櫛田中賞受賞、井原市田中美術館所蔵

吉賀 伸 准教授
Yoshika Shin

吉賀 伸 准教授
Yoshika Shin

1976年 山口県生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科修了。修士(美術)。

 

“彫刻の一素材としての陶”という観点から素材の制約と概念を超越した陶による大型の彫刻作品を制作。土の持つ可変性を様々に引き出し、新鮮で堅固な立体作品の創出のうちに存在感のある遺跡のような強さと時間性の表出をテーマとしてきた。近作では古代から現代に受け継がれている日本人固有の美意識の発現を試みている。

2001年 筑波大学芸術研究科長賞(2000年度の筑波大学修了作品より各専攻1名を対象)。2002年 第66回新制作展 新作家賞(一般応募出品作品より数点の優秀作品を対象)。2002年 第3回日本ユーモア彫刻展02 大賞(全国コンペティション形式によりグランプリとして1点を対象)。2005年 第69回新制作展 新作家賞(一般応募出品作品より数点の優秀作品を対象)。2005年 つくば市フクロウ彫刻展 入賞(全国コンペティション形式により買上賞として数点を対象)。2007年 五島記念文化賞 美術新人賞(五島記念文化財団の推薦委員によりノミネートされた作家から選考委員により2名選) 2013年 個展 スペース・S、など

yoshikaworks1

「山百合の泉」2008年
陶 H196×W160×D158 彫刻・林間学校展 メルシャン軽井沢美術館

非常勤講師

非常勤講師

阿部光成
伊藤恵夫
海崎三郎
金沢健一
坂田啓一郎
平井一嘉
藤原彩人


目指せる代表的な職業と取得できる資格

代表的な進路先:
公務員、団体職員/美術館、博物館/商品企画、開発/販売、商業施設/旅行、観光、ブライダル/雑誌・地域紙制作/美術・工芸作家/イラストレーション/アパレル、ファッション/学校教員/NPO(芸術、教育)/学芸員
目指せる主な資格:
小学校教諭一種免許(中学校教諭一種免許取得者が、指定の通信科目を受講することで取得できます)/中学校教諭一種免許(美術)/高等学校教諭一種免許(美術)/学芸員