美術科 版画コース

 

刷り上がった瞬間、新しい作品世界との出会いが訪れる

想いを込めた1枚の版を、紙や布に刷って作品にする—。版画コースでは、「銅版画」「木版画」「スクリーンプリント」の3技法を1年次から専門的に習得。幅広い素材や表現方法に触れながら、自分の表現を探求していきます。また大型デッサンなどでじっくり時間をかけて制作に取り組むことで、集中して作品を制作できる力を身につけます。幅広い版画技術の修練が発見させてくれるのは、無限に広がる表現の可能性。試し刷りを重ね、時間をかけて作品を完成させていくことで鍛えられる、強い意志や実行力、責任感は社会人への第一歩につながります。


芸工大の版画コースだからできること

繊細で深遠な銅版画
絵筆では描けない繊細な線の表情をインクの深い黒で映し出す銅版画。ニードルと呼ばれる針で線を幾本も描き、銅版を酸性の薬品で腐食させて原版を作ります。線の強さと薬品に浸す時間で幾重にも変わるトーンの幅。紙に画面が現れた時の感動こそが、銅版画の醍醐味と言えます。

柔らかい表情の木版画
色を何度も重ねることで、柔らかく豊かな色彩表現が生み出せる木版画。日本の伝統的な水性木版画の技法から、油性インクやマチエールを施す現代的な表現まで幅広く習得します。木の素材感を活かした作品や、彫り方やマチエールを工夫したものまで、幅広い表現が可能です。

自在性のスクリーンプリント
刷り上ったインクのシャープで厚みのある仕上りが特徴のスクリーンプリントは、布や金属へのプリントなども可能な自由度の高い技法です。作品の仕上りをイメージしながらのインクの調色は、気持ちが高まる時間。写真を刷って作品をつくることも可能です。

4年間のカリキュラム
  • 1

    銅版、木版、スクリーンプリントの基礎を習得/銅版画や木版画など版画技法の基礎を習得。絵筆で描く絵画とは異なる原版を刷るという方法によって成り立つ版画の原理を体験。肘折温泉での灯籠制作など、地域の人や仲間との制作で、「版での表現」と「社会との協調性」を養う。

    【必修科目(1年次)】芸術鑑賞の喜び/芸術思考論/洋画基礎演習1~4/版画入門
    【選択必修科目(1~4年次)】日本美術史概論/西洋美術史概論/東洋美術史概論
    【選択科目(1~4年次)】美術解剖学/芸術色彩学/工芸論/版画史/工芸史

  • 1
    洋画基礎演習2「大型デッサン」
    自分たちで組んだ大型モチーフをデッサン。じっくり時間をかけて描きたいものを定め形や空間を捉える。(必修)
  • 1
    洋画基礎演習3「フィジカルドローイング」
    デッキブラシなどを使い、身体を動かすドローイング。技術に捕らわれず描く衝動と感覚を解放。(必修)
  • 1
    洋画基礎演習3「銅版画(凹版)基礎技法」
    銅板を腐食させプレス機で刷る、凹版画のエッチング(線的)とアクアチント(面的)を習得。(必修)
  • 1
    洋画基礎演習4「木版画(凸版)基本技法」
    版木の彫り方や木の素材感、和紙と絵具の相性、色の重ね具合や表情など凸版画の原理基本を習得。(必修)
  • 1
    洋画基礎演習4「スクリーンプリント(孔版)基本技法」
    下絵を版に焼き付け紙にインクで刷るスクリーンプリント(孔版画)の基本を習得。(必修)
     
  • 2

    自由な発想で表現の多様性と技法を模索/前期は美術科共通演習として他コースの素材や手法を体験することで造形感覚の幅を広げ、表現の柔軟性を養う。後期は更に様々な版画技法を習得し、自身の感性に合う表現技法を思考し制作する。

    【必修科目(2年次)】版画演習1~3/美術と実践力1・2/美術科共通演習(絵画・彫刻・工芸・総合)A・B・C
    【選択必修科目(2~4年次)】日本近世近代美術史/現代美術史
    【選択科目(2~4年次)】素材学(日本画)/素材学(洋画)/芸術思考と社会/美術の見方/素材学(版画)/素材学(彫刻)/先端的コンテンツとアートシーン/衣服論/染色論/クリニカルアート演習

  • 2
    版画演習2「複合技法」
    1年生で学修した3技法のうち2つを選んで作品制作。それぞれの技法の特徴を理解し、自身の表現を模索。(必修)
  • 2
    版画演習3「古典技法演習/エングレービング」
    15世紀ヨーロッパが発祥の銅版画技法を学修。現代技法だけでなく幅広く版画についての理解を深める。(必修)
  • 3

    実験で素材と技法の応用を広げる/前期は紙漉き体験はじめ素材や技法への理解を深め、作品の完成度を高めていく。後期は画文集を制作。他者の文章から心を動かされ作品にすることは、自身の世界観を広げることに。また、大作を仕上げ「進級制作展」を2年生と合同開催する。

    【必修科目(3年次)】版画演習4~7/ポートフォリオ研究/ポートフォリオ作成
    【選択必修科目】アーティストマネジメント/キャリアマネジメント
    【選択科目】アートマネジメント概論

  • 3
    版画演習4「紙制作」
    刷る紙を自ら制作することで版以外の素材の重要性や可能性を考える。描く内容に加え、どう表現するかを試行する。(必修)
  • 3
    版画演習7[大作制作]
    演習で養った様々な技法表現を元に、自由な発想、感性で大作制作に挑戦。最終学年に向けて表現の方向性を見定める。
  • 4

    大作の制作への挑戦と社会への発表/前期は「新4年生展」「プレ卒展」の学内展覧会や各種版画コンクールに出品。また、大作制作と並行して版画集を出版し、全員で一つの形にすることを学ぶ。後期は自身のテーマで卒業制作を仕上げ、広い空間で展示をして学修の成果を発表する。

    【必修科目】版画演習8・9/卒業制作

  • 4
    版画演習8・9「版画集制作」
    全員の作品を函に収める版画集制作。額以外の装丁形態や複数印刷できるのが版画の特徴。印刷技術の上達も。(必修)
  • 4
    卒業制作
    4年間で得た専門的な成果を表現し、自身のメッセージを社会に強く発信。学びにつながる学生主体での卒業制作展の運営も大きな特徴。(必修)

活動レポート

  • 文芸学科との画文集制作で感性の往還

    文芸学科と版画コースの学生がペアを組み、文芸作品を読んで版画を制作し、版画作品を観て文章を書く。互いの作品に感化されながら、版画と文章を一枚の紙に刷り込み、個々の感性を集合させて作品画文集を協働で制作。

  • 刷る紙を自分で作るのも版画制作

    版画は刷ったイメージだけが版画ではなく、紙も含めて作品。その紙も自分で作る体験。コットンなど紙の繊維を分厚く漉いて凹凸や物質感のある紙を作り、そこに版画で刷ることで新たな発見のある作品に。

  • 全国大学版画展で多数受賞

    美術系大学約50校が参加する全国大学版画展に出品。約250点の中から町田市立国際版画美術館収蔵賞が30点選出され、今年は芸工大の学生が4名受賞。全国から注目度も高い。

  • 銅版画の原点エングレービング

    エングレービング技法で銅版画の原点を体験。15世紀初頭にヨーロッパで始まった、専用の彫刻刀で直に彫る技法。現代のお札の細密的な肖像画も同じ方法で作られており、気の遠くなる細密な作業。

  • 合同で行う2・3年生展

    毎年学年末に、3年生が中心となり2年生と合同で行う学内展覧会は、非常勤の先生方をお招きして講評会を開催。各々作品について発表、先生の言葉に耳を傾けつつ次作に向けて検証を行う。


作品紹介

  • ぱじゃまんはしろたんがすき! しろたんはぱじゃまんがすき?

    村上悠太「ぱじゃまんはしろたんがすき! しろたんはぱじゃまんがすき?」

    H1200×W900mmエッチング・アクアチント・ディープエッチング

  • beyond

    鈴木智奈美「beyond」

    H1280×W820mm 水性木版

  • 黄泉

    伊藤沙紀「黄泉」

    H1200×W920mm 水性木版

  • 海にいきたい

    藤本エレナ「海にいきたい」

    H1030×W1456mm シルクスクリーン

  • behind

    長田志穂「behind」

    H606×W900mm エッチング・アクアチント

  • 嚆矢

    吉村美咲「嚆矢」

    サイズ可変 手漉き和紙・鉄・墨・シルクスクリーン

  • そう

    増田早希「そう」

    H900×W1200mm エッチング・アクアチント・ディープエッチング

  • イシゲド

    秋庭麻里「イシゲド」

    H1230×W920mm 水性木版

  • 静寂

    齋藤僚太「静寂」

    H300×W200mm 木口木版

  • いつもの事

    森岡麻美「いつもの事」

    H300×W600mm 銅版画

  • 寒冷紗の動きNO.3

    大森弘之「寒冷紗の動きNO.3」

    H590×W1330mm 銅版画

  • collectionism-präparat- 治癒/水玉菌

    ヘンミモリ「collectionism-präparat- 治癒/水玉菌」

    H350×W700mm(各350×350mm) スクリーンプリント

  • Death

    ささきえり「Death」

    H900×W606mm 銅版画

  • phys

    佐藤和佳子「phys」

    H1177×W606mm 銅版画

  • 静厳

    平野有花「静厳」

    H1305×W920mm 水性木版、油性木版

  • ICE

    畑まどか「ICE」

    H765×W557mm スクリーンプリント

  • ウルザ

    李英圭「ウルザ」

    エッチング、アクアチント、400×520mm

  • 訪問

    倉金奈々子「訪問」

    銅版、600×1050mm

  • 蜃気楼

    西村沙由里「蜃気楼」

    銅版

  • catch×catch

    吉田理子「catch×catch」

    銅版

  • ゆきがふるこころに

    塩崎あゆみ「ゆきがふるこころに」

    木版

    エッチング、アクアチント、400×520mm

  • 内光溶解的

    小野智香「内光溶解的」

    水性・油性木版、和紙、墨汁、900×1300mm

  • 穏やかな朝

    西山麻衣子「穏やかな朝」

    木版、和紙、900×1200mm

  • 雨止む

    城下亜弓「雨止む」

    木版、水干、膠、915×1200mm

  • 浅き夢見じ

    朝比奈祐希「浅き夢見じ」

    シルクスクリーン、顔料、木炭、1000×2000mm

  • 煙雲の中の翼

    吉田理子「煙雲の中の翼」

    銅版画、780×1050mm

     

  • 光柳のはなしうた

    金子美早紀「光柳のはなしうた」

    銅版画、840×600mm

     

  • あやなす弐

     

  • 沈黙

    磯貝さとみ「沈黙」

    銅版画、605×605mm

  • 繋ぎの樹

    千田若菜「繋ぎの樹」

    木版画、1800×4500mm

     

  • reminiscence

    酒見浩司「reminiscence」

    ゴム板、1600×900mm

     

  • 山越え

    西村沙由里「山越え」

    銅版画、1800×1800mm

     

  • 女図鑑

    小野早菜子「女図鑑」

    H440×W440mm(各220×220mm) 木版画

     


フォトギャラリー


教員紹介

若月公平 教授 /コース長
Wakatsuki Kohei

若月公平 教授 /コース長
Wakatsuki Kohei

1956年 埼玉県生まれ。1981武蔵野美術大学実技専修科研究課程版画専修修了。学士。

 

1985年 「第2回中華民国国際版画展」―金賞―(台北市立美術館・台湾)/1997年「リュブリアナ国際版画ビエンナーレ」―グランプリ―(スロベニア)/2005年「高知版画トリエンナーレ」―奨励賞―(伊野町紙の博物館・高知)

2013年 個展/ 若月公平展-杜が居た- 養清堂画廊、など

現在:社団法人 日本版画協会会員、大学版画学会 会員(運営委員)

 

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中村桂子 教授
Nakamura Keiko

中村桂子 教授
Nakamura Keiko

1966年 東京都生まれ。1991年 東京造形大学造形学部美術学科研究生修了。修士。

 

ガレリア・グラフィカ (東京・銀座)、シロタ画廊(東京・銀座)などで個展多数。1991年「第59回日本版画協会展」山口源新人賞(日本版画協会)/2000年 五島記念文化賞美術新人賞(五島記念文化財団)/2002年「Acts of Renewal : Japanese Art Re-Interpreted」Victoria&Albert Museum(ロンドン)/2004年「日本の木版画100年-創作版画から新しい版表現へ-」名古屋市美術館(名古屋)/2005年「VOCA展」(上野の森美術館)/2010年「生まれるイメージ」(山形美術館)

 

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非常勤講師

非常勤講師

廣澤仁
大塩紗永
鈴木吐志哉
筆塚稔尚
馬場知子
三浦一之
辺見海
佐藤妙子
景山健


目指せる代表的な職業と取得できる資格

代表的な進路先:
公務員、団体職員/美術館、博物館/商品企画、開発/販売、商業施設/旅行、観光、ブライダル/雑誌・地域紙制作/美術・工芸作家/イラストレーション/アパレル、ファッション/学校教員/NPO(芸術、教育)/学芸員
目指せる主な資格:
小学校教諭一種免許(中学校教諭一種免許取得者が、指定の通信科目を受講することで取得できます)/中学校教諭一種免許(美術)/高等学校教諭一種免許(美術)/学芸員